Or star or knight（ナイト・オア・スター）!?

リン〇歳
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「えっと、この辺かなぁ・・・」
床に這い蹲るミニョは、家具に邪魔をされて、それ以上進めない肩をめ一杯腕を伸ばす事で、斜めに傾けながら、難しい顔をしていた。
「うーん・・・ないですねー」
狭い空間に細い肩を嵌め込み、それでも、伸ばした腕も指先も目当ての物には往きつかない様で、益々渋い顔をしている。
「あーん・・・もう・・・どこにあるのでしょう」
その横でチョコンとラグマットの上に座っているリンは、玩具のピアノを叩いて音を出し、まるでミニョの姿を嘲笑うかの様にキャッキャと笑った。
「ぅうっ、これは、遊びではないのですがぁ・・・」
未だ、腕を伸ばしたまま、ずるずると肩を落とし、家具の隙間に何とか体を押し込み腕を伸ばし続けているミニョは、表情を変えている。
「あっ！！そっそれっ！！！！」
嬉しそうに大きな声を出し笑顔になったミニョにきょとんとしたリンが、指を咥えて見つめていて、小さく不思議そうな声を出した。
「あっ！そう！そこ！もう少し！！！」
まるで他人に声を掛ける様に活を入れ、ググッと腕を伸ばしたミニョは、目を開くと口も開けている。
「えっ、わっ、嘘っ！どっ、ど・・・・・・」
そこへ、ただいまと声を掛けてテギョンが、リビングに入ってくると、奇妙な格好をして床に寝そべる様に倒れているミニョを見た。
「・・・・・・・・・何をやってるんだ！？」
ミニョに声を掛けながら、小さな首を上に向けたリンと目を合わせるとその脇腹に腕を伸ばし、抱き上げている。
「おおおおおおオッパァ・・・おっおっ、帰りなさい・・・で・・・す」
焦った様に何とか顔を傾けたミニョは、テギョンに挨拶をしながら、反対の手で肩に触れた。
「ああ、ただいま・・・で、コ・ミニョ・・・それは、新しい遊びか！？」
キャッキャとはしゃいで手を叩いたリンをチラリと横目で見つめたテギョンは、さらさらと流れる前髪を掻き揚げて、淡々と聞いている。
「えっ、ええと、そっ、それは・・・ですねぇ・・・」
その間も肩に触れて腕を動かしているミニョは、恥かしそうに赤い顔をしながら一生懸命手足をバタつかせ、暫く見つめていたテギョンが大きな溜息を吐いてしゃがみこんだ。
「抜けなくなったのか！？」
ジッと見つめるテギョンの瞳をオドオド揺れる瞳で見つめ返したミニョは、コクンと小さく頷き、また、溜息を吐いて髪を掻き揚げたテギョンは、リンを抱えたまま立ち上がり、ツカツカとソファに向かっている。
「えっ、おおおおオッパー、助けてくれるんじゃ・・・・・・」
背中を向けてしまったテギョンに空を切る手を彷徨わせて、溺れた様にあわあわ口を開けたミニョは、ストンとソファに座ってしまったテギョンに泣き出しそうな声を出した。
「ほーら、リン、オンマが何か言ってるなー」
リンを抱いて、高い高いと頭の上に持ち上げているテギョンは、笑っているリンの顔を見上げながら、チラリと横目でミニョを見ている。
「オッパーーー・・・・・・・・」
「事故多発地帯だからなぁ・・・あんな事は日常茶飯事なんだ！助けてやると碌な事がない」
独り言を呟く様にリンに話して聞かせるテギョンは、それでもミニョを気にして、チラチラと後ろを振り返りながらまた溜息を吐き出した。
「あぶぅ・・・ぷぅ・・・」
「ふふ、お前も気になるか」
「オッパぁ・・・・・・」
テギョンの肩越しにミニョを見ているリンとリンを愛子（あやし）ながら背中を軽く叩いているテギョンと眉を下げて泣き出しそうなミニョと誰彼とも無く、息遣いが辺りに一瞬の静寂を齎している。
「ふ、このままだと夕飯が食えないからな」
諦めにも似た溜息を零したテギョンは、リンをソファに座らせて立ち上がり、ツカツカとミニョの挟まっている家具の前に立った。
「で、コ・ミニョ、お前、何故、そこに挟まったんだ！？」
ようやく理由を聞くことにしたらしいテギョンにパッと明るい顔を向けたミニョは、瞼を伏せ、恥かしそうな表情をすると鼻の頭を掻いている。
「えっと、その、ここにリンのおしゃぶりが・・・」
「おしゃぶりー！？」
「はっ、はははははい！えっと、その転がってしまって、その・・・」
呆れた表情でミニョを見下ろしているテギョンに困った表情で見上げていたミニョは、素っ頓狂な声を出されて更に恐縮した様に肩を窄め、その行動に肩がするりと抜けた。
「あっ、あ、抜・・・けた・・・・・・」
間抜けな声を出してその場に座り込んだミニョは、けれど、手の中におしゃぶりが無い事を確認すると家具の隙間を見つめている。
「あっ、あれ！？」
「おいっ！止めろっ！」
首を傾げて、隙間を見つめたミニョにテギョンが慌てて肩を掴み、膝の前に手を付いて覗こうとしていたミニョは、ペタンと尻餅をついて後ろに転がった。
「きゃー」
「っとに・・・何で同じ事をやろうとするんだっ！！！こっのパボー！！！！！」
耳を引っ張り、怒りの篭った低い声を出したテギョンに目をぱちくりさせたミニョは、また口を開けて揺れ動き、頭を振っている。
「ふん、ったく、どこにあるんだ！？」
ミニョを押しやって、目当ての物を視界に入れたテギョンは、長い腕を伸ばしてあっさりそれを拾い上げ、立ち上がるとキッチンに歩いて行き、ぶつぶつ呟きながらおしゃぶりを洗った。
「ふ、ん、こんなものか」
おしゃぶりを見つめて丁寧に水気を拭き取り、リンの元へ向かうテギョンにペッタリ床に座り込んで耳を押さえているミニョは、ぽやんとしている。
「ほら、リン！お前、面白がって投げたんだろう」
ソファに座るリンの顔におしゃぶりを突き出したテギョンは、口を開けたリンにそれを咥えさせて隣に座り、ミニョを振り返った。
「ぷっぷー、きゃ、きゃぁ」
「最近、お前、よく、物を投げてるからな・・・けど、ミニョはな、事故を起こしやすいんだ・・・お前が面白くても、投げるならあっちにしろ」
あっちと広いスペースを指差すテギョンにきょとんとしたリンは、ぶぶぅと不満そうに声を出し、テギョンは、ニヤリと口角を上げている。
「間抜けなうさぎが、ぼんやりしているな」
ミニョを見つめ、リンを抱き上げたテギョンは、ミニョに歩み寄り、その膝にリンを乗せると下から顔を覗き込んだ。
「おい、ミニョ、聞こえてるか！？」
テギョンの声が、頭に響いているらしいミニョは、ゆっくり顔を上げ、ハッとした表情で、リンを抱きしめ何度も頷いている。
「・・・・・・・・・大丈夫か！？」
「だっ、大丈夫・・・です」
「これは！？」
「えっ、あっ、手のひら」
「五本だ、ふ、聞こえてるな」
「きっ、あっ！もう！オッパ大きな声を出さないで下さい」
膨れた頬でテギョンを見上げるミニョは不満顔で、ミニョを見上げているリンが不思議な顔をしてテギョンに腕を伸ばした。
「大きな声を出さなければ解らないだろう」
「そんな事ないです！ちゃんと聞こえてます！」
「事故を起こしてからじゃ何の意味も無いな」
「事故って、ちょっと、挟まっただけ・・・」
ぶすくれてぶつぶつ続けるミニョにテギョンの鋭い睨みが飛ぶと、ミニョの体が数センチ後ろに下がっている。
「あっ、ええと・・・」
「俺が帰ってきたから良いけどな、いいか！そのちょっとの間にお前、こいつに何かあったらどうするんだ！」
ミニョの膝を指差して、且つ、腕を伸ばしたテギョンにリンが抱き上げられ、ミニョの顔が見えたリンはにっこり笑った。
「すっ、すみません・・・・・・・・・」
笑顔を返そうとするミニョだが、テギョンの瞳は変わらず鋭く、真っ直ぐ見れない瞳が、床を彷徨いリンがまた不思議な顔をしている。
「ったく、お前にこんな事を言っても改善の余地は無かったな」
「そ・・・」
「ふん、まぁ、良いさ、こっちにちゃんと言い聞かせてやるからな」
「えっ！？」
リンを膝に座らせたテギョンは、両手を上げさせて万歳の格好をさせると笑ったリンが、テギョンを見上げた。
「リン！良いか良く聞いとけ！お前のオンマは、本当に危険生物なんだ！俺を事故に巻き込む天才だからな！お前も巻き込まれない様に注意しろ」
リンと手を繋いで動かして遊んでいるテギョンは、ニヤニヤしながらミニョを見つめ、きょとんとしたミニョは、目を瞬かせている。
「オッパー、あんまりですぅー」
「本当の事だろう」
「きゃー、ぷ、ぷぷぷぅー」
「うっ、リン迄・・・」
パタリと前のめりに倒れたミニョは、テギョンの膝の前で顔をあげ、笑っているリンを下から見上げて、固い笑顔を浮かべた。
「俺に似て賢い子だからな！良かったなコ・ミニョ！騎士が増えたぞ」
「オッパは、星です・・・」
「ふふん、どっちでも良いさ！お前を守ってやれるのは、俺だけだという事をよく覚えとけ！」
ミニョの尖った唇に一瞬口を尖らせたテギョンだが、ニヤリと頬の左側を吊り上げ、悪戯な笑みを浮かべている。
「・・・オッパはぁ、誰が守るのですかぁ・・・・・・」
「俺を守るのは・・・月の女神かな・・・見えるのはそれだけだしな」
「月が・・・無い時は・・・」
テギョンに上げられていた腕を前に伸ばしたリンに握った手を緩め、ミニョに抱きつこうと腕を伸ばしたリンの体を支えたテギョンは、起き上がったミニョにリンを渡し、ミニョに抱かれてその顔に触れたリンの背中に手を添えて、ミニョの隣に移動した。
「月は、いつでもそこにあるだろう！満ち欠けがあっても、月はいつでも星に寄り添ってる！太陽もな！見えないだけだ！」
だから、星は、月と太陽を見守る騎士でもあるのさとミニョの肩を抱いたテギョンとミニョとリンのとある一日の出来事だった。



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皆様こんばんわーおひさしぶり！？昨日は『母の日』でしたね(^-^)
贈物だったり、労いの言葉だったり、頂いた方、頂けなかった方にも、
こちらを訪れてくれるオンマの皆様へ、感謝を込めて!(^^)!
小さなリンの赤ちゃんの頃のこんなお話でしたが、楽しんで頂けましたかね(^^)
寝ているミニョに近づいて転がったテギョンをおもい出していただけると(笑)
最後まで読んでいただいてありがとうございます(*^▽^*)
勿論、オンマでない皆様にも感謝をー(^^♪