尖らせた唇と不満そうな眼差しで睨みつけているリンの表情をじっと睨み返していたテギョンは、突然吹きだして面白い顔だなと言いながらその体を床に降ろした。
「僕は、面白くないもんっ!」
腕を伸ばしてテギョンに抗議しているリンの両脇に腕を沿えたままきょろっと辺りを見回したテギョンは、練習生達のいなくなったフロアーを見回し、ミニョとジェルミの背中を見ている。
「おい!コ・ミニョ!」
立てた指先を曲げ、振り返ったミニョを呼び込むと、ジェルミと顔を見合わせたミニョが、翳をつけた顔色でテギョンに近寄った。
「・・・オッパぁ・・・何ですかぁ・・・」
上から下まで、ミニョのスウェット姿を見つめるテギョンは、体を半分回転させ、腕を組んで、ミニョの周りを見回している。
「ふ・・・ん・・・やっぱり、太ったか」
「はっ!?あ!?え!?」
ミニョに腕を伸ばしたテギョンは、ミニョの下半身を見つめて、顎に指先を添えて難しい顔をしていて、テギョンの見ているお尻に両手を翳したミニョは、呆気にとられた顔をやがて、ぷっくり膨らませた。
「オッパー!!!」
「何だよ・・・太っただろう」
耳を劈(つんざ)きそうな声を真っ赤な顔で叫んだミニョは、拳をふるふる震わせてファイティングポーズを作っている。
「ふふふふ、太ってなんかー!!!」
「太ったというか・・・この辺りがな、弛んでいるというか・・・うーん・・・ミナムに見えなくも無いんだが・・・」
「ちょ、ヒョン・・・デリカシー・・・無い・・・よ」
ミニョのふるふる震える拳を見つめたジェルミが、真っ赤な涙目のミニョを覗いて、おろおろした。
「おおおおおオッパのパーボー!!!」
「ぁん!?」
「リン!!帰りますよっ!!」
「えっ、うーん・・・アッパはぁ!?」
膨れたまま、リンの手を掴んだミニョは、そのままテギョンの横を通り抜け、きょとん心配そうな顔をしたリンが、後ろを振り返っている。
「知りませんっ!良いのです!オッパってば、オッパってば・・・」
ずんずんと扉に向かって行くミニョに知れっとしたテギョンは、何も言わずジェルミが、おろおろしながらテギョンに声を掛けた。
「ミニョ・・・頑張ってると思うけど」
「そんなの知ってる!衣装も綺麗に着こなしてるし、この数年、仕事が無くてもボディラインを崩さない様な努力もしてるからな」
「ヒョ、ヒョン、何、考えてるのさ」
テギョンの清音に反して、大きな声を出したジェルミに驚きピタリと立ち止まったミニョは、数度瞬きを繰り返し、振り返ると両側の口角をあげてニヤついたテギョンの顔にヒクッと頬を引き攣らせ、喉も震わせている。
「ああ、キム・ソンジュンが、なぁ・・・邪魔だよなぁ」
大仰に溜息を吐いてミニョを見るとは無しに見て、ジェルミに語るテギョンにそろりと床を擦るように横歩きを始めたミニョは、リンと両手を繋いでダンスを踊るようにテギョンの傍に戻って来た。
「何だよ・・・帰るんじゃないのか!?」
「・・・オッパ・・・何か、してくれるのですか!?」
きらきら期待の篭った眼差しが、テギョンを見上げ、ちらりと瞳を細めたテギョンは、くるりと背中を向けている。
「さぁ、な・・・何かして欲しいのか!?」
「ソンジュンssiの訪問!止めてくれるんじゃないのですかぁ」
リンと繋いだ手をそっと離したミニョは、テギョンの袖を掴んだ。
「さぁ、どうするかなぁ・・・」
「オッパぁ」
「お前・・・性格、悪くなっただろ」
ミニョから顔を逸らしているテギョンは、掴まれた袖に視線を落としたが、甘えた声を出したミニョをギロリと睨んでいる。
「うっ、そ、そんな事ないですっ」
「オンマ、性格悪いのー!?ミナムみたいー!?」
「ミナムオッパが、性格悪いのは、昔か・・・」
上目遣いで、口を窄めたミニョにリンが後ろから声を掛け、振り返ったミニョは、開いた口を塞ぐ暇も無く、テギョンの後ろに隠れて、あんぐりした口のまま指を指した。
「おっ前なぁ、兄貴に対してなんて言い草だ!お前の性格が、歪んだんのは、誰かさんのおかげだろ」
「オ・・・オッパーー!な、何ですかっ!!!それっ」
ミナムの指摘を完全に無視したミニョは、ミナムの着ているものに釘付けで、大きな瞳を更に大きくして、テギョンの翳から目を皿の様にしてミナムを見ている。
「ぁん、ああ、オッパの命令で、着てみたのー!どーう!?似合うー!?」
「に・・・」
「似合ってるけど・・・オンマの匂いが、するよー」
頬に手を当て、軽く斜めに構えて、横を向いたミナムは、腰を落としてスカートを軽く摘んで足を見せ、駈け寄ったリンが、ミナムの腰に抱きついていた。
「ああ、ミニョのだからな」
抱きつくリンを抱き上げたミナムは、同じ顔の高さで、ニヤリと笑っていて、ミナムの服を見たリンは、不思議な顔で肩越しに背中を見ている。
「な、な、な、な、そっ、そ、そ、そ、そ」
「あ!?何だよ!?」
「オッパー・・・そ、れ、わたしの・・・お気に・・・入り・・・」
「ぁ、そうなの!?ヒョンが、持ってきたんだぜ」
「あいつに着られそうなのをチョイスしただけだぞ」
ミナムの肩から背中を覗いているリンは、ミナムに担がれながら腰を曲げ、今にも泣き出しそうな、悲しそうな顔をしたミニョは、ミナムの胸の辺りを見つめ、テギョンのさらり発言に眉を下げた。
「良いかコ・ミニョ!お邪魔虫を追い払うためなんだ!協力しろ!」
何か言いたそうな唇を噛むミニョに目を細めたテギョンは、少し低めのきつい声を出し、ちらりと目を上げたミニョは、諦めがつかないのか唇をキュと結び直してスウェットを掴んで俯いている。
「・・・わたしのお気に入り・・・」
「また、買ってやる!」
「ねー、オンマー、これー」
ミナムの背中に負ぶさる様に両腕を肩に掛けて、お尻を支えられたリンが、大きな声を出してミニョを呼んだ。
「リン!黙っててー」
「はーい」
唇に一本指を立てたミニョは、片目を閉じてミナムの脇からひょこっと顔を出したリンに合図を送り、ミニョのポーズににっこりと笑ったリンは、頷いていた。
「なんだよ!?」
「何!?」
「何かあるの!?」
「何も」
「何も無いですよー」
イーと歯を見せ、指先で口角をあげて引き攣った顔に笑みを作ったミニョに不思議な顔を向けていたテギョンとミナムとジェルミであった。
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PSYを楽しみましたので→次はTEAMH見に行ってきます(^^)/
本日も最後までお付き合い頂いてありがとうございます(*^▽^*)
ミニョのお気に入りの服の秘密は次回、またね(^^)/
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