♪小さな可愛い郵便屋さん
お荷物手荷物それは何?
お荷物手荷物あなたに届けと
向こうのお部屋で受け取った
向こうのお部屋にいるの誰
僕に良く似たナムジャだよ
小さな小さな郵便屋さん
あなたに似た人可愛い人ね
そうかな、お口は、こーんなだよー♪
★★★★★☆☆☆★★★★★
「ギャーハハ、ハハ!は、はぁーあ、おっ前、なんだよ、これー」
「アッパのお歌ー」
宿舎のリビングで、カウンターテーブルを叩いてお腹を抱えたミナムは、隣で、コクコクとオレンジジュースを飲んでいるリンに向き直って、その肩を掴んでゆさゆさ揺すりながら笑い転げていた。
「あはは、あっ、有り得なっ・・・ぷっくく、こ、これ、何したんだぁ」
目元を擦りながら、浮かんだ涙を拭い去り、大笑いをしているミナムにリンは、けろりと応えている。
「あのねー、ユアンssiが、お家の前にいて、昨日もアッパが、拗ねてたのー」
「ん・・・キム・ソンジュンssi!?」
「うん、そう!その人ー」
お替りはとリンの前に大きなボトルを置いたシヌにグラスを眺めて、両手で差し出したリンは、オレンジ色の液体が、増えていく様をにっこり笑って見つめた。
「ややこしくて困るな」
「そうだ、な・・・ジョンアssiは、A.N.entertainmenと契約したから、今は、ヌナ達について色々回ってるみたいだ」
オレンジのボトルを冷蔵庫に仕舞い込んで、ゴソゴソと奥に手を入れたシヌは、リボンの装飾のついた箱を取り出すとカウンターにそれを置いて、また後ろを向いた。
「ミニョの専属に決まったの!?」
「ああ、でも、ミニョのオファーは、テギョンが、端から難癖つけて断ってるから、まぁ、細かい仕事はあっても、大きな仕事は、まだ入ってこないよ」
「難癖・・・って・・・意地悪いなぁ・・・ミニョの意見は無し!?」
キッチンの戸棚から、お皿とフォークを取り出したシヌに箱を見ていたリンは、ぱぁと明るい顔をすると、椅子の上に立ち上がっている。
「まぁ、そうだな、昔と何ら変わらない」
「ミニョ、知ってる!?」
「知らないだろう・・・そういうの疎いだろうし、テギョンを信頼しているから、お前が言わなきゃ何も言わないだろう」
立ち上がったリンの期待を込めた顔を見たシヌは、何だと思うと悪戯っぽくリンに微笑み、ケーキと答えたリンに箱を開いて見せた。
「ああ、雛鳥の心理復活!?」
「そうか」
「なぁにぃ、それ!?」
ケーキと聞いて立ち上がったミナムが、シヌが開いた箱の中を覗きこんで、有名なお店の名前を告げると、一番大きな物を指差している。
「最初に見たものを親だと思うインプリンティングっていうものさ」
「イン!?」
「インプリンティング・・・頭に印刷をするんだよ・・・そうだね、ミニョの場合、最初の出会いから、ファン・テギョンを追い掛けていたね」
ミナムの言い分を無視したシヌは、リンにどれが良いかと訊ね、隣をチラリと見たリンは、ニヤッと笑って、けれど、ミナムとは別の大きな苺の乗ったケーキを指差した。
「人間と鳥は、違うけどな」
「ふ、お前が、言ったんだろう」
「はは、ちょこまか付いてくる姿は、鳥の雛みたいだろう」
「兄貴の癖に」
「俺にもそうだったからね、可愛かったんだ!ミニョ」
口元に拳を作って、姿を作るミナムにお皿に乗せたケーキをリンの前に置いたシヌは、フォークを差し出して、ミナムに聞いている。
「今も可愛いんだろう」
「当たり前!俺には、一生、可愛い妹さ」
先程選んだ物が良いと子供みたいに、にこにこ笑っているミナムに呆れ顔のシヌは、取り分けてミナムの前に置いた。
「それ、テギョンの前で言ってみろよ」
「ほんな事したら、ヒョンが、ジェラシーで焦げちゃうじゃん」
「ミニョを閉じ込めて外に出さないとか・・・か」
「やりかねな・・・・・・えっぐっぇ」
頬を窄めて、両手を添えたミナムは、ジェルミお得意のポーズで、同意を求め、にっこり微笑もうとした顔が、派手に仰け反っている。
「やるわけ無いだろう!!!ったく、お前ら、俺がいないと好き勝手な事を言いやがって!!!」
傾げた首で、リンの方を向こうとした頭が、フードを引っ張られ、椅子から転げ落ちそうになり、慌ててテーブルを掴んだミナムは、ぎょっとして振り返った。
「お前が迎えなんて珍しいな、ミニョは!?」
「あいつは、ダンスレッスンだ」
「ダンスぅ!?」
ミナムのフードを放したテギョンは、リンの隣の椅子を跨ぎ、お皿に乗った、生クリームの塊を美味しそうに口に入れているリンを見ると、シヌの前に置かれた箱をギロリと睨みつけている。
「ああ・・・柔軟性が、全く無いから暫くレッスンを受けさせる事にした」
「ヒョンだって、やってないじゃん」
「俺は、ジムに行ったり、体力作りはしている」
シヌが、テギョンの前にコーヒーを置いて、リンを見つめているテギョンに悪戯っぽく箱を持ち上げて食べるかと聞いた。
「ここに良い錘(おもり)がいるじゃん」
「ああ、リンを抱き上げられるなら、まだ、体力も十分じゃないか」
「そんな事をさせられるか!お前、こいつ、この一年で、どれだけ重くなってると思ってるんだ」
故意に尋ねるシヌにテギョンの尖った唇が、要らないと顔を歪めて、手を前に出し、頬杖をついて、リンのお腹を触っている。
「へぇー、そんなに成長してるのか!?」
「アッパと一緒に走ってるからだって、オンマが言ってたよー」
フォークを咥えたまま、テギョンの触れたお腹を両手で触っているリンは、Tシャツを捲り上げた。
「ヒョンと一緒!?」
「うん・・・でも、時々だよ、アッパ公園一週しかしないもん」
「・・・・・・短すぎない!?」
お腹を隠したリンを見ていたミナムが、自分のお腹を擦っている。
「煩い!俺の勝手だ」
コーヒーカップを手にしたテギョンにシヌが、キッチンから覗き込む様に下半身を見つめ、不満そうな表情のテギョンは、シヌを追い払う様に手を動かした。
「腹が出ないんだから、良いんじゃない」
「うわぁ、シヌヒョン、それだめー、想像したら怖いー」
「ミニョに捨てられたりして」
再び、頬を抑えたミナムにシヌがさらりと返すとリンがテギョンのお腹を見つめている。
「僕もやー!ぽよぽよアッパは、絶対やだー」
「なっ!好き勝手な事を言うな!俺だって嫌だ!」
じーっと見つめるリンの視線に自身のお腹を見つめたテギョンであった。
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