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「お休みなさい・・・」
「お休み・・・ね、オンマぁ・・・」
「何ですか・・・」
「ふふ、とってもね、綺麗だったよ!それにね、アッパもいつもより格好良かった!」
「・・・・・・ふふ、ありがとうございます」
パチンと消えた電気の下で、欠伸をしながら、もう一度お休みと呟いたリンは、ミニョがゆっくり扉を引いている間に、スゥーと寝息をたて始め、それを背中で聞くミニョは、クスッと笑って、閉めた扉の前で、くるっと身体を翻すと、地下へ続く階段を降りていった。
★★★★★☆☆☆★★★★★
「♪今・・・より・・・抱き締めたい・・・乗せて・・・♪」
「リンは、休みましたよ」
「ああ、お前は!?」
ピアノの前で譜面台に書き込みをしているテギョンの傍にトトトトと小走りで近寄ったミニョは、隣に腰を降ろすと椅子を見て、テギョンの顔を見てから、開いている間を詰め、ふふと笑っている。
「オッパは!?まだ、お仕事をされるのでしょう!?」
「ああ、もう少し・・・な、お前のレコーディングもあるし」
「アルバムですか!?」
「ああ、とりあえず、撮影が終ったから、これが放映される頃になれば、お前の活動も本格的になるからな・・・」
「ふぅん・・・でも、そんなに沢山のお仕事は、請けないですよ・・・ね」
「ああ、リンの事もある、誰か面倒を視てくれる人を雇ってもいいけど・・・俺の様な想いは、させたくないし・・・して欲しくもないからな・・・オファーは、結構あるけど」
鍵盤に置いた指を僅かに動かしたが、音を出すことも無く隣を見たテギョンは、腕をスッと引いて、ミニョの肩に回し、コテンとテギョンの肩口に顔を倒したミニョもテギョンの腰に腕を回している。
「オッパにお任せしてますので、また、導いて下さい」
「みち・・・って、俺は、お前の神様じゃないぞ」
「神様じゃないですけど、私の一番大事な星です!」
ギョッとした瞳でミニョを見たテギョンの顔をちらりと上目遣いで眺めて視線を外したミニョは、少し体の向きを変えるとテギョンのお腹に腕を廻して前から抱き締め胸に顔を埋めた。
「・・・どうしたんだ!?」
「いえ、何というか・・・シヌオッパには、本当に・・・本当に申し訳ないですけど、凄く・・・嬉しかったんです」
「嬉しかった!?」
何が、とミニョの顎に軽く手を掛けたテギョンは、上向いた顔にそっと顔を近づけていくと、テギョンを見たミニョの瞼も自然と下げられ、ふたつの唇が重なっている。
「っ・・・・・・事件の・・・事か・・・」
僅かに離れ、けれど離れがたいのか頬にそっとキスを落とすテギョンの行為に、はにかんで、俯いてしまったミニョは、ポスンと音を立ててテギョンの胸に顔を埋め、左右に首を振るだけの返事を返した。
「違うのか・・・」
「いえ・・・そうです・・・けど、それよりも・・・」
それよりもと続けたミニョは、しかし、テギョンの髪を梳き、抱き締める行為にうっとりしていて、黙ってしまったミニョにテギョンが、おいと声を掛けている。
「あっ・・・っと、すみません・・・」
「眠いなら、先に寝てて良いんだぞ」
疲れただろうと労うテギョンだが、顔をあげたミニョを見て、何だよと僅かに動揺して肩を震わせた。
「んっ!もう!!オッパ!私の話!聞いてましたかっ!」
「いや、だから、何がそんなに嬉しかったんだ!?」
頬を膨らませテギョンの顔を見ているミニョの唇は前に突き出し、拗ねたように横を向いている。
「オッパの事です!!」
「俺!?」
「ん・・・そうです!」
「俺・・・何かした・・・か・・・」
「ええ、沢山してくれてます!リンの事は勿論ですけど!何より、私を・・・こんな私を・・・いつも・・・いっつも・・・・・・」
「おっ!!おい・・・ミニョ・・・」
ぎょっとして見開いたテギョンの前で、涙が零れたミニョは、泣き笑いの半笑いで、目元を擦りながら、ヘヘと小さく舌を出した。
「おい、大丈夫か・・・久しぶりで、疲れたんだろう!」
「ん、大丈夫です!すみません!最後まで聞いてください!」
そう言いながら、またテギョンの胸に倒れ込み、その体に腕を廻したミニョは、今度はゆっくり言葉を紡いでいる。
「嬉しかったのは、オッパが、ずっと、見えない所でも私を守っていてくれた事です!見えない所に行くなと言われてオッパの所に戻りました・・・思って、沢山の努力もしました・・・リンも授かりました!それは、いつも、いつでもオッパが、ファン・テギョンssiが、私を私達を見守っていてくれたからです!導いてくれたからです!私にとっての星は、本当に道標なんです!オッパが、いたから、いつでも見ていてくれたから・・・くれ・・・」
くれるからと言い直される筈の言葉は、声にはならなくて、その言葉は、テギョンの唇に呑み込まれ、唐突なキスに目を見開いているミニョの瞼がゆっくり閉じられるとテギョンの腕が、ミニョの体をきつく抱き締めていた。
「もう良い・・・もう、何も言うな・・・」
「オッパ・・・・・・」
「あの話をお前に聞かせるのはな・・・本当は、不本意だったんだ・・・こうなるだろう・・・と思っていたからな・・・シヌの怪我の事や、一連の事件の事は、もう全部終わってる事だ・・・10年も前だぞ!大体、キム・ソンジュンだか、ユアンだか知らないが!あいつらが、告白の話で俺を挑発しなければ、俺だって忘れていたんだっ!!チッ!!ったく!!詳しく思い出させやがって・・・・・・」
唇が突き出したテギョンは、それを左右に動かすと不機嫌丸出しで、ミニョを抱いている腕にも力が入っている様で、瞳だけを上げたミニョは、雲行きがおかしくなってきた事を悟ったのか、頬に触れると、オッパとテギョンの胸を押して離れている。
「ああ、えっと・・・私、やっぱり先に寝ます!また明日、お話しましょう!」
そう言いながら立ち上がったミニョは、ペコンと頭を提げるとくるっと振り返って数歩進んだが、テギョンが、おいとまた声を掛けた。
「何ですかぁ・・・」
振り返る事もせず、背筋を伸ばして直立不動になったミニョは、ゆっくりと爪先を前に進めている。
「そこで止まれっ!!」
テギョンの低い声にはいと返事を返したミニョは、小さく舌を出しながら、けれど爪先は、まだまだ動かしていて、パタンとピアノの蓋を閉じたテギョンは、カチャという音をさせて鍵をかけ、ツカツカとミニョの後ろに立つとその右手を掴んだ。
「えっ、あっ、オッパ・・・お仕事は・・・」
ミニョの手を掴んで地下スタジオの扉に向かったテギョンは、そこの鍵もかけると、階段の上を見て、ミニョの顔を見ている。
「リンは、もう寝たんだろう!?」
「ええ、ぐっすりです」
「ふ、あいつの方が、はしゃぎすぎで疲れてるのか」
「そ、うですね・・・ユソンssiとジュノssiとユンギssiが面倒を見てくれてましたから!もしかしたら、ユンギssiが、一番疲れているのでは、無いですかね」
「ふん!あいつは、楽しい事が一杯で、疲れる事など無いから心配無用だ」
ミニョの手を引いて階段を昇りきり、しかし、そこで立ち止まったテギョンは、ミニョを振り返るとテギョンと繋がったミニョを呼んだ。
「はい!何ですか!?」
「俺は、暗くてよく見えないからな!お前が、連れて行け!」
「ヘッ!?」
廊下の先の明かりが、落とされたリビングを見たミニョは、直そこの寝室に視線を移し、不思議な顔をして首を傾けている。
「お前が、俺を煽ったんだからな」
ミニョの手を引いて、寝室を通り越したテギョンは、上階に上がる為の階段に向かっていて、ミニョの手を更に引くと、先に階段を昇らせ、行けと顎をあげた。
「煽った・・・って・・・」
テギョンに促されるまま、階段を昇り始めたミニョは、その手を引きながら気をつけてくださいと言っている。
「お前のレコーディングが終るまでは、我慢しようと思ってたんだけどな」
「!?何の事ですかぁ」
「さぁな・・・ほら!早く連れて行けよ!」
上階に辿り着いたミニョが、その意味を理解した頃、夢の中のリンは、ミニョの声を夢現で聞いているのだった。
★★★★★☆☆☆★★★★★
船は、沖に出て、揺れた
沈み行く船に溺れる自分に
伸ばした手の先に光が見えた
沈むのか浮かぶのか
もがき
揺れる水面に顔を出した時
恋人同士の影が見えた
泣いている女と慰めている男
自分とそこの境界線
だから
零れ落ちた涙の数だけ
俺の悔しさを閉じ込めた
我慢して
いつかこの手に
抱き締めてやる
今は、底辺だ
それでも
それでも
★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★
このタイトルは、これで終わります!
これを始めて半年以上・・・個人的には、体調不良が多く、色々あった年でしたが(^^;
最後の最後にこれを完結出来る事を目標にしておりまして、これで何とか、一区切り!
悔いなく新しい年を迎えられそうです!長々とお付き合い頂いて、ありがとうございました(^_^)
2013年は、新しいお話でスタートする予定でおります♪
それから、早々に暮れのご挨拶を頂いた皆様!年明けにお返事させてくださいm(_ _ )mミアネー
今年は、このログを通じて多くの出会いを頂き、ある方面では、とても大きな実りもあった一年でした
仲良くしてくださった皆々様、来年もこんな奴を、引き続きかまってくださいましねー!
皆様にとって良いお年である様に願いながら、
2012年こんな拙いブログにお付き合い頂き、本当にありがとうございました(*^▽^*)
良いお年をお迎えください!
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