★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★
「居たか!?」
「いや・・・覚えてない・・・な」
「・・・・・・」
「事件の時は、居たんだろう!?」
テギョンの問いかけに、シヌとミナムが、相次いで返事を返し、ジェルミは、黙ったまま俯くと首を傾げながら、ミニョを見つめている。
「事件の時に居たのもついさっき知ったんだぞ・・・」
判る訳がないだろうとユンギの方を見たテギョンは、黙々と食事を続けて返事もしないユンギに少し強い口調で呼びかけ、それにちらっと上目遣いでテギョンを見たユンギが、フォークを置いて、ナプキンを手に取るとジェルミの声が、響いた。
「チッ!!何だよ!?」
「居た!!居たよ!!ほらっ!!!ミニョを助けてくれた人!!!」
興奮した様子のジェルミが、ミニョを見て、覚えてないかと尋ね、けれど、きょとんとして首を傾げているミニョは、瞳を回して首を振っている。
「んっ、もう!ほらっ!!階段!落ちそうになったでしょ!!」
「そう、でしたっけ!?」
恍けた表情のミニョは、本当に覚えていないという様子で見返して、ミニョの返事に業を煮やしたジェルミは、両の手を拳に握って力いっぱい振り下ろした。
「そうだよ!!ん、俺が呼び止めてっ!ミニョが階段でよろけたの!そこに丁度通りかかって助けてくれた人だよー!!覚えてない!?」
「うーん・・・・・」
「ああ・・・それなら、覚えてる、大声が聞こえて、廊下に出たら、ジェルミが、ミニョに抱きついて泣いてたな」
シヌが、顎に手を添えて頷くとミナムが、感嘆の声を漏らしていて知らないことをアピールしている。
「引き剥がすのが、大変で、テギョンが来て・・・」
「そうだよっ!だって俺のせいだったし!あそこに人がいたから助かったんだから!」
「でも、確かあの後・・・・・・」
シヌが、横を見ると首を振ったジェルミが、テギョンをちらりと見て自分の肩に腕を回して震える様な仕種をし、ジェルミを見たミナムが、ニタァと笑うとムッとしたジェルミが、ふんとそっぽを向いた。
「あ、いつか・・・」
「思い出した!?」
「ああ、確か社員だと紹介された様な・・・」
思い出し考え込んでいるテギョンは、雰囲気が違うと呟いている。
「ふふ、そうなんだ」
「それで!?」
「テギョンさぁ、その時、ソンジュンに言った事を覚えてる!?」
俯いたままテギョンに尋ねるユンギの口元は、僅かに口角があがって、せせら笑いを浮かべ、腕を組んだテギョンは、いやと否定をして暫くするとハッと目を開けている。
「・・・・・・まっさか・・・あれ、か・・・・・・」
「やーっぱり、思い出した!流石だね!」
テーブルに肘を付いたユンギは、ニヤッとしてテギョンを見つめ、手のひらに顎を乗せて軽く首を傾げ、そんなユンギをジッと見たテギョンは、ギロリと瞳を下からあげると片目を閉じて唇を歪めた。
「あいつに言った訳じゃないだろ」
「そうだねぇ!でもさぁ、それを励みに頑張ったんだから」
仕方ないよねとワインを口に入れたユンギが、頷きながら笑い、わいわい食事を続けている子供達を見ているのは、最早ミニョ一人で、大人達は、すっかりテギョンとユンギの会話に釘付けになっている。
「ねぇねぇ、何の話さ」
「もしかして、底辺の話!?」
ミナムの言葉に被る様にシヌが椅子を引いて、テギョンとユンギの方に体を向けた。
「そっ!太陽が昇るのが見えて、陸地もそこに見えてるのに!それでも沈むのを待つなら、死を望んでる事だろう!ってさ」
大きな声で笑うユンギに面白くなさそうに顔を背けたテギョンを見てシヌが、そうなのかと尋ねたが、それに答えは返らず、テーブルと平行に向きを変えたユンギが、シヌと向き合った。
「言ったらしいよ!ね!テギョン」
「チッ!それは、あいつに言った訳じゃない!」
「そうだね、でもさ、あいつ、それで、会社を継いじゃったんだよね」
可笑しそうに笑うユンギは、それがソンジュンが、テギョンを敵視している原因だとシヌに言って頷いたシヌは、でもと続けている。
「・・・それって、テギョンに感謝しても良い話じゃないのか」
「うーん、そうだね・・・どちらかというとあいつが、会社を継いだから今のELが在るしね・・・」
「ああ、当時もそれなりだったけど、そもそもテギョンがその話をしたのって、船の話を聞いたからだろう」
「そうらしいね、先代の社長が、A.N.Jellへの依頼を決めたのも、勿論、事件を起した奴等の企みもあったけど、半年の契約とはいえ、それで、業績を回復して且つ上回るだけの自信もあったんだろうね」
ユンギが、くるりと向きを変え、ワインのボトルに手を伸ばすとテギョンがそれを渡してまた唇を突き出した。
「チッ!沈みかけの船を助けると思えと言ったんだ!この俺に!!そんなの目の前にいれば助けるに決まってるだろう!けどな!そもそもあの会社の事は、アン社長も調べてた!だから依頼も受けたんだ!」
テギョンが、不機嫌にまくし立てたが、ユンギもシヌも笑って頷き、まぁ、飲めよとワインを勧めて舌打をしたテギョンを横目に二人で会話を続け、そんな様子を遠目で見ていたミナムが、リンの頭越しにミニョの肩を叩いて、顎をあげている。
「それで、ミニョの事は!?」
「あ、うん、その時一緒に訪問しててミニョssiを助けた訳だけど、その前に撮影で見かけて、ほら!ユアン・・・えっと、ジョンアssiの方ね、アフリカのボランティアセンターで、告白をしたらしいんだよね・・・・・・結婚してくれって、で、振られて、けど、ずっと好きで追いかけていて・・・」
シヌが、ユンギの話を聞きながら、あの頃から何も変わらないとテーブルを回ってテギョンの横に腰を降ろしたミニョを見て微笑んだ。
「ふふ、そうなんだね・・・ソンジュンはさ、当時からELの役員には、名前を連ねてたんだ・・・会社を継ぐつもりは無くても、EL内部でアルバイト的に仕事をしてた・・・モデルは、遊びの一環だったけど、ミニョssiの撮影を見て、もっと一緒に仕事をしたいと思ったそうだよ・・・けれど、事件があって、テギョンに会って、何でこんな奴にユアンが負けたのかという思いと何より、会社の事だね、テギョンの言う様に見える所にあるのに諦めるのかと思ったら、余計にテギョンへの対抗意識が強くなって、社長になってたんだってさ」
おかしな話だろうと笑ったユンギは、けれど自分の事と重ね合わせているのか、少し自嘲的に笑っていて、一通り、話を聞き終えたシヌは、ユンギの前で大きな溜息をついて、顔をあげると同時にテギョンと視線が絡んでいる。
「ったく、どいつもこいつも同じだな!!俺の心臓に悪い事ばかりしやがって!っとに!ミニョの仕事を選ぶのは俺だ!余計な口を出すな!」
「私はぁ、選べないのですかぁ・・・」
テギョンの言葉にその膝に手を置いていたミニョは下から見上げているが、その顔を見たテギョンは、ギョッとして、テーブルとミニョの顔を交互に見ている。
「おっ、お前の気持ちは尊重してるだろ!やりたい事をやれよ!」
「じゃぁ、このお話!請けても良いって事ですよね!」
テギョンの前で手を併せて首を傾げたミニョにその肩に手を乗せたテギョンは、そっとミニョの首筋に触れ、ゴクンと何かを飲み込む仕種をした。
「はっ!?あ!?・・・・・・ん、う、請けたいのか・・・」
「請けたいです!だって、ボランティアセンターの広告でしょ!それに教会への寄付もしてくれるそうなので、子供達が喜びます!」
テギョンを真っ直ぐ見つめるミニョの瞳に冷静な態度で請け応えをしている様に見えるテギョンは、けれど、僅かに腰を引いている。
「それから!ジョンアssiもれす!オッパ、専属にしてくれるでしょう!?」
明らかに少し酔った雰囲気のミニョにシヌが、ミナムを振り返ったが、涼しい顔で酒を飲んでいるミナムは、そっぽを向いていた。
「なぁ、これってさぁ、テギョンの言う事故になるのかなぁ」
「テギョンの中では、多分、大事故だぞ」
「今夜・・・大変そうだね・・・」
「そう、だな・・・どうなるかな」
「どうにもならないよー!オンマが、アッパに勝つんだよ」
いつの間にかシヌとユンギの足元に居たリンは、しゃがみ込んで両手で顎を支えて、二人を見上げ、ニィィと笑って、それに微笑んだユンギとシヌとごちそうさまと大きな声で言ったミナムの声を合図に立ち上がって、テギョンとミニョに駆け寄って行き、帰るかと溜息混じりに疲れた表情で呟いたテギョンの手を取って、早く帰ろうと促したのだった。
★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★
![]() |
byアメーバピグ |
12月ですね・・・白い袋を提げたおじいさんの季節かぁ、風が強くて、家まで遠いね(*_*)
でも歩いた!途中までしか公開されてない・・・
お部屋に貢物ありがとうございます(*^▽^*)
激写画像無くなってたので文章のみ失礼!
美味しかったよー(^v^)
にほんブログ村