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「いや、だから・・・ちょっと険悪っていうか・・・」
携帯を片手にこそこそ隠れる様に椅子の陰からテラスに座る面子を見つめるジェルミは、困った表情で蹲っていた。
テギョンとソンジュンとミナム、それに戻って来たシヌが、同じテーブルで顔をつきあわせて、誰も一言も発する事無く、ミニョが、戻ってくるのを待っていて、そのテーブルに一緒に座って居た筈のジェルミだったが、余に無言で渦巻いている空気感に耐えられなくなったのか、ファジャンシル(トイレ)と言って席を立ち、建物の中に入るやいなや、ちらちら後ろを振り返って携帯を取り出し、駆け込むと同時にミニョの番号をコールしていた。
「何で、あんな風になってるのか、わからないんだよ~」
貸切の為、誰もいないレストランスペースは、閑散としていて、その入り口付近に置かれた丸いテーブルの翳に身を隠し、ミニョに電話を掛けているジェルミは、耐えられないから早く戻って来てとミニョに懇願している。
「ん・・・なんかさ・・・ミナムが、キム・ユアンじゃないだろ!!って言ったんだ・・・それにヒョンが、怒っちゃってさ・・・うん・・・そう・・・丁度シヌヒョンも戻って来たんだ・・・それで・・・えっ!?えっ!?嘘っ!!!そっ、そうなのっ!!!!」
ミニョの返答に驚いた表情を浮かべたジェルミは、大きな声を出しそうになったのを慌てて抑え、テーブルの上に顔を出す様に4人を見つめて、そっぽを向いてお茶を飲んでいる状況を説明した。
「う・・・ん・・・その話は、シヌヒョンが言いかけたけど、昔の事だってヒョンが一蹴してたから、関係ないと思う・・・」
とにかく早く戻ってきてよ~と小声で情けない声を出したジェルミは、携帯を切ると何事もなかった様に立ち上がって4人の待つテーブルに戻って行った。
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「えっと・・・大丈夫ですか!?」
ミニョが、きょとんと携帯を見つめている横に衣装のバッグやケースをベンチに置いて見下ろしたジョンアが、心配そうに覗き込んでいた。
その顔を呆けたまま見上げたミニョは、ゆっくり口角をあげて、はいと大きく頷くと、多分と口に出している。
「多分、オッパが、わたしが驚いたのを感じたのかなぁと思うんです」
「驚いた!?」
「ええ、キム・ユアンssi!!」
「えっ!?」
「うん、だって・・・わたしもソンジュンssiだと思ってましたもの!」
ジョンアssiとは、これっぽちも重なりませんでしたと指を重ねて見せたミニョは、へへと笑顔を零して立ち上がり、裾を直す仕種をした。
「オッパが怒ってるそうなので、もう戻りましょう!」
「姉の・・・事ですかね・・・」
バッグを肩に担いで両手に袋を持ち上げたジョンアにミニョが手を伸ばして持ちますと言ったが、その手を柔らかく制したジョンアが、袋の中から薄いボレロを取り出してこれをとミニョの肩に掛けた。
「震えは止まりましたか!?」
「はい!すっかり!久しぶりに本格的な撮影でしたので!」
肩に掛けられたボレロに袖を通して親指を立てて見せたミニョにジョンアも笑顔を返すと、素敵でしたよと賞賛を浴びせ、その一言にミニョが照れ笑いを返し、促したジョンアに従ってふたり並んでテギョン達の元に戻って行った。
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「わーーーい!お水気持ち良いねー」
ビニールのボールを持って、それを投げて遊んでいるリンとユソン、それにジュンシンは、3人でキャッキャキャッキャとはしゃぎながら、プールの中を走り回っていた。
時折、ユンギが、持っていた水鉄砲で3人に水を掛け、攻撃する度に的にされるユンギが、3人にボールをぶつけたり、ぶつけられたりと、子供と一緒に楽しそうにはしゃいでいたが、テラスに座る4人を見つめて、一瞬だけど苦そうな顔をしたのをこの子供たちが、見逃す筈もなく、顔を見合わせてユンギを取り囲むとジトーっと見つめている。
「なっ、なんだ!?」
「何って言うか、ユンギヒョンさぁ・・・アッパとオンマに何か隠してるでしょ~」
「ユンギが、そんな顔をしてる時は、何かを企んでる時だぞ」
「ユンギssiには気をつけろとハラボジが言ってましたが・・・」
三人三様にユンギを見上げて互いの意見に頷きながら、首を傾げたり、頭の後ろで手を組んだり、顎に手を添えたりしていた。
そんな、三人の様子に左右を見回したユンギは、大きな大きな溜息を息が見えそうな位、ガックリ肩を落として吐くとお前らなぁと子供達を軽く睨みつけながら見下ろしている。
「どいつもこいつも!!随分、大人っぽい事を言うなぁ!!」
「本当の事でしょ~」
リンが、ボールを抱えたままユンギを見上げ、ワクワクキラキラさせた瞳で何と聞いた。
「早く白状しろよっ!!」
ジュンシンが、ユンギの足を軽く蹴る真似をすると、リンが、それは駄目と尖らせた唇でボールを間に差出し、ユソンも大きく頷いていて、チェっと舌打ちをしたジュンシンが、解ったよ横目でふたりを見るとユンギにごめんと言っている。
「へー!お前!ヌナや俺の言う事は聞かない癖にこいつらの言うことは、聞くんだなぁ」
ジュンシンの素直な謝罪に感心して感嘆の声を上げたユンギに煩いなぁと不満そうなジュンシンが、別に良いだろと言った。
「ふーん、やっぱり、持つべき者は、チングかぁ!」
お前生意気なのになと続けたユンギが、ククッと口元を抑え腹も抱えて笑うとジュンシンが、真っ赤になっている。
「うっ、うるさいなぁ!!それより教えろよっ!!」
「そうだよ!ユンギヒョン!教えて~」
「教えてください」
三人が、ユンギとの距離を一歩ずつ詰めて手を繋ぐとユンギの周りをぐるぐる回り始めた。
「ちょおぉ、お前達!面白がってるっだろっ!!」
「だって、面白いもーん!」
「ミニョssi~とっても綺麗でしたよねー」
「ユンギの連れてきた、あいつもしゃちょうなんだろー!!」
ぐるぐる話しながら回っている三人の真ん中で、ユンギもぐるぐる回っていて、目が回ったのか額を押さえて立ち止まると、子供達もキャーと叫びながら、砂浜の上に次々倒れこんでいる。
「うー、目が回る~」
「「「あははははははは」」」
うつ伏せで足をばたつかせるリンにユソンは、足を伸ばして座りこみ、大の字に寝そべったジュンシンが、疲れた~と発すると、はぁと溜息を付いたユンギもその場に座り込み、膝を抱えて、後ろを振り返ると、丁度ミニョとジョンアが、椅子を引いて、テギョンの隣に腰を下ろしている様子が見えて、ユンギの態度に顔をあげた子供達は、それぞれに嬉しそうな表情を浮かべながら思い思いにユンギの周りに集まって、また取り囲んでいるのだった。
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!!!マカロン付きのケーキが置いてありましたの~
ごちそうさまです~
甘いものたくさんでそろそろダイエット必要かしら~(笑)
最後まで読んで頂いてありがとうございました(*^▽^*)
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