そんなふたりを見つめながら、テーブルに肘をついて組んだ指先に顎を乗せ、右と左を交互に見ているミナムは、口元を指先で隠して笑い、隣に座ったジェルミは、ジュースのグラスを口にして淵越しにふたりをみては、首を振っていた。
「ミニョの奴、遅いなぁ・・・」
ミナムが、ジェルミの背中越しに建物の中を覗き込んで、きょろきょろし始めると、カチャンと音を立ててカップをソーサーに戻したテギョンが、チッと大きく舌打をしている。
「何!?」
ミナムがきょとんとしてテギョンの顔を見るとミナムの顔を見つめていたテギョンが、唇を尖らせて何でもないと言った。
体を斜めに向けて足を組んだテギョンに一瞬きょとんとしたミナムだが、ニマッと笑うと身を乗り出している。
「もしかして・・・チルトゥ(焼きもち)!?」
テーブルにベタッと上半身を倒して、テギョンを見上げるミナムをギロっと瞳だけ動かすテギョンは、ふんと鼻を鳴らして更に身体を捻り、そんな様子にニマニマしているミナムの横でジェルミが、そうなのと口にして、グラスを置いた。
「ミナムって、ミニョのピンチは何でも解るよね~」
軽口でそう紡ぐとテギョンの顔がゆっくりジェルミに向いて、左側の口角をピクピクさせながら睨んでいる。
「そっ、未だに健在!!あいつのピンチは俺のピンチでもある」
ミナムが口元に指を当て、楽しそうにテギョンを見上げると、テーブルに視線を落としたテギョンが、嫌そうに片目を閉じた。
「あっ!なーんだよヒョンその顔!!失礼だなぁ」
「煩い!お前とミニョが、繋がってるらしいってのは解る!けどだったら何で・・・」
唇を尖らせて不満そうに睨みながら黙ってしまうテギョンにミナムがニヤニヤ笑って体を起こした。
「何で俺に言わないか!?って、そーんなの決まってんじゃん!心配させたくないからだろぉ」
ねーとジェルミを見て、ミニョの様に笑ってみせるミナムは、隣で吹き出したジェルミの肩を叩いている。
「便利な能力ですね」
黙って聞いていたソンジュンが、興味深そうにミナムを見るとけろりとしたミナムが、ソンジュンを下から見つめた。
「能力って程じゃないぜ!第一これ、俺には判るけど、ミニョは全く感じないらしいし」
テギョンとソンジュンを交互に見るミナムは、にやにや笑っていて、面白がっている事が周りにも伝わり、テギョンの顔は益々渋くなっていくが、ソンジュンは、僅かに前に出てきている。
「へー双子なのに違うんですね」
ミナムの顔を見つめて、ふふと笑ったソンジュンににっこり笑顔を返したミナムは、視線をニ度ほど左右に揺らすとソンジュンをじっと見て続けた。
「そっ、違う!それにさ・・・お前も違うだろ!?」
「えっ!?」
「ミニョに告白した相手じゃないだろ」
ソンジュンの驚きなどそっちのけで平然と言ったミナムにジェルミとテギョンの驚いた視線が注がれている。
「なっ、何を」
「うーん、さっきミニョの奴、えっらい勢いで驚いたんだよなぁ多分・・・」
そう言いながらジェルミを見て、その手をおもむろに掴んだミナムは、胸の上に手を当てさせた。
「えっ、ちょ、ミナム!!すっごく心臓早いよ」
「ああ、ドッキドキしすぎて壊れるかと思ったぜ」
ジェルミの当てがっている手の上に手を重ねて、けれど暫くするとそこをペチッと音が聞こえる程強く叩いたミナムが、手を振り払っている。
「ったいなー!何するんだっ!!」
「いつまでも触っちゃやーよ」
ヘラヘラ笑うミナムは、ジェルミにウィンクをしてみせ、けれど、短く溜息を吐くと、真顔でソンジュンを見つめた。
「それでさぁ・・・」
「どういうことですか!?」
ミナムが口を開いたのと同時に冷静な、でも威圧的な低い声が辺りに響き、テギョンが、体の向きを変えてソンジュンを見ている。
「どう!?とは」
「あなたが告白の相手じゃないのですか!?」
「ああ、それですか・・・」
クスっと小さく笑ったソンジュンは、キム・ユアンと言った。
「キム・ユアン!?」
「ええ、キム・ユアンは、私のモデル時代の名前ですが・・・」
告白の相手はユアンですからねと言ったソンジュンにテギョンもミナムもジェルミもきょとんとして、呆けるとコーヒーを飲み始めたソンジュンの顔を考え込むように見つめていたのだった。
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