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撮り終えた映像をジッと見つめるテギョンの横で、コンタクトを外し、ゆっくり開いた瞳で周りを見回したミニョは、衣装ケースと化粧道具の箱を持って立っているジョンアに微笑み、ありがとうございますと頭を下げ、こちらこそと応えたジョンアに一緒に出来ると良いですねと続け、それを耳をダンボにして聞いていたテギョンは、瞳だけあげてちらっとジョンアを見て、テギョンの視線に気付いたジョンアが、薄く笑った事に小さく舌打をして、また映像を確認し、監督のOKの声にほーーと長い溜息を零した。
「終了だーー」
「終わりでーす!」
「お疲れ様でしたー」
監督の周りのスタッフから徐々に声が拡がって行き、撮影の終了が告げられると、テギョンの肩を叩いて、握手を求めた監督が、ミニョにも同じ様に握手を求め、復帰おめでとうと言っている。
「ありがとうございます」
「大分、善い画を撮らせてもらったよ!」
「本当ですか!?」
テギョンの腕がミニョに伸びて、その肩を抱き寄せ、並んで立つふたりに笑顔を向ける監督は、これならスポンサーも文句は無いだろうと後ろを振り返った。
「あっ、ソンジュンssi」
「彼からの注文もあったんだけどね」
笑って教えてくれる監督の話は、テギョンにとっては、とても笑って聞いていられる物では無かった様で、徐々にその顔が不機嫌に歪められていくと、監督も困ったような表情でミニョを見て、ミニョがテギョンを嗜めていた。
「もーオッパ!!気にしすぎです!!」
「そんな事を言ってもな!何であいつがモデルの真似事なんてする必要があるんだよ!」
ミニョに対して怒りをぶつけているテギョンにそれでも微笑んだ監督が、ソンジュンを見て、テギョンの肩に軽く手を乗せている。
「彼ね、元々モデルだったんだよ!家の都合で辞めたんだ」
ユアンという名でねと監督が、説明をすると瞳を回したミニョが、驚いた様に大きな声を出して、テギョンのシャツを引っ張っている。
「キム・ユアンssi!!!」
「そうそう、そんな名前で活動してたな!アフリカから帰ってから、だから・・・」
思い出す様に空を見上げて、考え込む仕種をした監督にテギョンのシャツを引っ張り続けているミニョは、嬉しそうに何度も頷いた。
「アフリカぁ!?」
「そ、そうです!思い出しました!!!キム・ユアンssi!一緒にアフリカで・・・」
「どういうことだっ!!!」
ミニョの嬉しそうな顔に掴んでいた肩に力を入れたテギョンは、怒鳴る様にミニョに訊ね、耳元に聞こえた声に耳を塞いで、テギョンから顔を離したミニョは、片目を閉じて煩そうな表情をしている。
「もっ!おっきな声を出さないで下さい!!」
「お前に告白したって言ってたんたぞ・・・」
ミニョの言葉にギロっと瞳を向けるテギョンは、その耳元に口を寄せて小さな声でもう一度訊ね、唇も不機嫌そうに尖らせた。
「ああ、ユアンssiなら、されました!結婚しようって言われました」
「はぁぁ!?」
人差し指を立てて、ああ、あのユアンssiと疑問が解けた事にひとり納得して嬉しそうに笑っているミニョに更に疑問が深まって面白くなさそうな顔をしているテギョンは、監督がそれじゃぁと言って背中を向けると軽く頭を下げ上げる頭と同時にミニョの両肩を掴むとくるっと正面で向き合っている。
「なっ、なんですか!?」
「話し合う必要があるって言ったろ!」
ミニョと向き合って、その顔を見下ろし、見上げるミニョのきょとんとしている瞳に目を細めたテギョンは、小さく舌打をして、ミニョは、相変わらずボケっとテギョンを見ていた。
「どういうことか説明しろよ」
「どうって・・・」
「キム・ソンジュンを知らなくてもキム・ユアンって男なら心当たりがあるのか!」
「あっ、えええっと・・・はい」
「そいつに告白されたのか!」
「ええ、結婚・・・しようと・・・言われました・・・」
「少なくとも!俺は、お前がアフリカから帰ってからそんな話!唯の一度も聞いたこと無いぞ!!」
腕を組んで体を斜めにして立つテギョンは、唇を動かしながらミニョを不機嫌に見下ろし、視界に入ったらしいジョンアにも鋭い視線を向けている。
「えっ、だって、忘れてましたし・・・」
「お前が忘れててもあっちは、忘れてないって事だろ」
「だって、だって、関係ないじゃないですか!!」
今更と膨れるミニョは、わたしオッパの奥さんだしと小さく呟いて、指先を見つめながらちらちらとテギョンを見ていて、呆気に取られてその場に立ち尽くしているジョンアが、テギョンとミニョを交互に見つめていた。
「チッ!あいつ、俺にお前と星を見たと自慢げに言ったんだ」
「星!?ああ、見ました」
「ふたりだけでか!?」
「ええ、確か、あの時は、ふたりでした」
思い出を紐解く様に遠い目をするミニョに益々目を細めていくテギョンは、瞳を回して、考え込む仕種をすると、何を考えているんだとソンジュンの方を見て、そこで談笑する人数の多さに目を見開いて固まっている。
「ちょ、あいつら、何で・・・」
どうしたんですかぁとテギョンの見ている方角を見たミニョは、そこから手を振ったジェルミに手を振り返し、ジェルミが手を振った事にミニョ達の仕事が終った事に気がついたリンが、立ち上がるとオンマーとミニョを呼びながら走ってきて、ミニョの前で急ブレーキを掛ける様に立ち止まったリンが、くるっと向きを変えて、テギョンの腹に飛びつき、手を広げてリンを待ちかねていたミニョは、あれっと横を向いて、首を傾げた。
「えっ、えっ、リン・・・何で!?」
淋しそうにリンを見たミニョは、テギョンの腰に腕を回しているリンに不思議な顔を向けている。
「ミアネーオンマ!あのねーそのドレス汚しちゃ駄目だって言われたのー」
「えっ!?」
ジョンアの用意してきたドレスで、既に水を被っている為、クリーニングをするのは当たり前の状態になっていて、屈んだままジョンアを見上げたミニョは、首を振るジョンアを見て、益々不思議な顔をすると誰が、とリンに聞いた。
「あそこにいるヒョンだよ!オンマの着てる服は、高いから無闇に踏んだりして傷付けると大変だって言ってたよ!」
「どういうことですか!?」
ミニョが、ジョンアを振り返ると顔に手を当てて隠す様にしたジョンアが、あさっての方に視線を投げて、顔を逸らす様にしている。
「ジョンアssi!あなたが選んでくれたのではないのですか」
「えっ、いえ、えっと、私が、選びましたよ!勿論!」
「でも、じゃぁ何でソンジュンssiが!」
「それ、俺から説明しますよ!」
困り顔のジョンアの隣に立って、その肩を抱いたソンジュンが、ジョンアの肩を引き寄せて、並んで立ったが、テギョンもミニョも不思議な顔をして、共にあれと首を傾げた。
「なんか、変な、感じですね・・・」
「ああ、なんだ、違和感、というか・・・」
「ふたりともそっくりだねー」
テギョンとミニョの前にソンジュンとジョンアが、並んで立ち、髪の長さや男女という点を除けば、ふたりの顔立ちは、どこか似ていてまるでミニョの真似をしているミナムとミニョが、並んで立っている様な雰囲気を醸し出していて、テギョンの前にいたリンが、言った一言に顔を見合わせたミニョとテギョンは、まさかと口を開けて、固まっている。
「言ってなかったのか!?」
「ええ、必要ないでしょ」
ソンジュンとジョンアが交わす会話に口を開けたまま、指を指したミニョが、大きな声を出すのとユンギと話をしながらミナム、シヌ、ジェルミが、その場にやってきたのは、ほぼ同じタイミングの出来事だった。
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byアメーバピグ |
ごちそうさまでした(^^♪