「相変わらずって、どういうことでしょう!?」
ミニョの知り合いかと続けたテギョンは、相手の態度にこちらも身構え不遜な態度で尋ねた。
「知ってます!と言ったらどうされます!?」
今更、降りますかと尋ねたソンジュンにテギョンは、ふっと口角をあげて笑みを零している。
「仕事は、仕事です!俺が聞いてるのは、そういう事ではないです」
相手の挑発に苛ついた表情は見せたテギョンだが、冷静に受け答えをして、隣にいたワンが驚き、口元に手を当てたが、頬が緩んでいるのが見え隠れした。
「ああ、そうですね」
スラックスのポケットに手を入れて、テギョンと正面で向かい合うソンジュンは、テギョンの顔を真っ直ぐ見ると星ですかと聞いている。
「星!?」
「ええ、コ・ミニョssiの星!たった一つ一番輝く星」
「何の事です!?」
「知ってるのか!とお尋ねになったので」
笑いながら不遜な態度を続けるソンジュンにテギョンの眉間にくっきりと皺が浮き出て、かなり苛ついている事が窺えたが、隣で見ているワンも冷静に成り行きを見ている。
「揶揄ってるんですか!?」
「いいえ、星の話をしたんです!彼女と」
俯いて、クスッと笑って、ミニョの方を見たソンジュンは、美しいですねと呟いて、大きな扇風機の前に立って裾を持ち上げているミニョを見つめている。
「知ってるのか!と問われれば、彼女は貴方の奥様です!知らない人は、いないでしょう」
そうですよねと口角をあげたソンジュンは、やっとポケットから手を出してテギョンに握手を求める様に差し出し、その手を面白くなさそうに見つめたテギョンは、渋々という感じに唇を尖らせて握り返した。
「未だにA.N.Jellというグループは、アイドル路線こそ少し逸れたが、まだ、第一線で活躍している」
素晴らしいですねとソンジュンが、グループの話を始めるとテギョンの唇がますます尖ってゆき、何が言いたいんだと抑えた低音で呟き、横に下ろした手が僅かに握り込まれて、それを視界で捉えたソンジュンは、失礼と漏らしながら失笑の様な笑みを零した。
「あなたが、本当に奥様が大事と言うのは・・・」
「それ以上は・・・辞めとけよ!」
不遜で不躾な態度を続けるソンジュンの声に少し明るい声が重なって、そちらを見たテギョンは、大きく目を見開き直に細めている。
「やぁ、テギョン!元気・・・だ、よねぇ・・・」
睨みつける瞳に明るく手を上げて返したものの次第に笑顔が強張り顔に張りついたユンギが、ふたりの後ろで、後ずさる様に片側だけ踵を引いて立っていた。
「イ・ユンギ!!なんでお前がここに居る!!」
「うーん、何故と問われればこいつを紹介したの、僕、かなぁ」
「はぁ!?」
相変わらず恍けたユンギの返事に俯くテギョンは、拳に握った手をわなわなと震わせ、ゆっくり上向いた顔の片側が、かなり歪められて見るからに冷たい笑顔を浮かべている。
「わー!!ちょっと、待て!!怒るなら話を聞いてから!!」
「何の話だ!!!!!」
「何でミニョssiを知ってるか!それから!なんでコンセプトを変えたか!!」
聞きたくないと早口で一気にまくし立てへらっと笑ったユンギに冷たい笑みを浮かべながらジーっと細めた視線を向けるテギョンは、チッとかなり大きな舌打をして尖らせた唇を動かして背中を向けた。
「それとこれと何の関係がある!!」
撮影隊は、ミニョの足跡を撮る為にビーチの砂が用意された場所に移動していて、テギョン達からは少し離れた位置に監督もカメラも動き、風の中で髪を掻き揚げながら歩くミニョの姿が見えている。
「うーん・・・あるといえばある・・・かな」
肩越しに顔を僅かに振り向かせたテギョンの視線の先には、ワンが立っていたが、ミニョを見つめて良いわぁと呟き瞳を輝かせていた。
「あのね、こいつ!ミニョssiに告白して、振られた事があるんだって」
「ハァ!?」
こいつとソンジュンの肩を抱いて笑っているユンギは、嫌そうにその腕を外そうとしているソンジュンの首根っこに腕を回して両腕で締め付ける様その首を捉えていて、そんな仕種にかなり親しい様子が伝わってくる。
「それ以来テギョンの事が、ど、わーい嫌いらしい・・・」
嫌がるソンジュンから腕を外したユンギは、右肘を左手で支えて顎に指を添えてテギョンと目を併せた。
「好きになって頂かなくても結構だ!」
ユンギと視線を交わし、更に振り返る様に腰を回したテギョンは、ソンジュンを一瞥してから前に向き直り、面白くなさそうな表情で腕を組んでいる。
「仕事とプライベートは、別だろ!」
そう言ったテギョンにソンジュンを見たユンギは、薄く笑顔を浮かべてその顔を覗き込む様に顎をあげた。
「僕はね!けど、こいつは、そうでもなかったから、僕がここに居る」
テギョンの背中に語りかけるユンギの隣でソンジュンは、不満そうにユンギの事をヒョンと抗議する様に呼び、ミニョの姿を眺めながら、OKと聞こえた監督の声と次の準備迄休憩ですと報せたアシスタントの声にテギョンの方を見たミニョが、遠目でも判る程に不思議な顔をして首を傾げている。
「ミニョからは、何も聞いてないぞ!」
「そりゃそうでしょ!覚えてなかったみたいだし!」
「告白した奴の顔くらい覚えていると思うがな!よっぽど印象が薄いのか」
ミニョの傍らにジョンアが駆け寄り、何か二言三言言葉を交わすとテギョンの方を指差したミニョに笑ったジョンアが、ドレスの裾を持ち上げ、それを眺めていたテギョンは、ふっと笑ってユンギに向って振り返った。
「だからさぁ星ばっかり見てて、他が見えてなかったんじゃないの!?」
「ふん!あいつが見ているのは、俺だけだけだからな!!」
その星は自分だと勝ち誇った様にテギョンの表情が緩んでユンギを見て、黙って聞いているソンジュンは、細めた目でテギョンをちらと見て面白くなさそうに顔を背けている。
「うわー本当に嫌な奴だよね~テギョン!俺もミニョssiのファンなんだけど」
「お前はファンてだけだろ!俺は、あいつの夫だ!だいたい、お前達がファンだろうがなんだろうが、そんなのは勝手にすれば良い!」
それよりと言ったテギョンの横にミニョが、ジョンアに腕を引かれ、ドレスの裾を摘みあげながら戻って来てテギョンの袖を引いた。
「オッパ!次は、オッパとですね!」
「ああ」
ユンギ達に目もくれずテギョンににっこり微笑むミニョにユンギをちらりと見たテギョンの口の端があがっている。
「ミニョssi!こんにちは!」
ムッとした表情でテギョンを見たユンギだが、すぐにミニョに向き直って、明るい声で挨拶をし、首を傾げながらユンギを見たミニョが、口に手を当てると驚いた様な恥ずかしそうな表情になった。
「ユッ、ユンギssiでっすか~こっ、こんにちは」
慌てた様に頭を下げたミニョは、微笑を浮かべたが、ユンギが不思議な顔をしてミニョを見るとジーッとその顔を見つめている。
「・・・気付いてなかったんですか!?」
「あっ、えっと・・・」
横にいたテギョンが、ミニョの肩を掴むと唇に手を当て、ミニョの顎に手を添えて、そっとその顎を上向かせた。
「終るまでは、取れないだろう」
ミニョの瞳を覗き込むテギョンは、問題ないかと聞いていて、はいと答えるミニョは、目尻に指先を当て、あっかんべーとする様にすこし肌を引っ張っりテギョンに見せている。
「何!?」
「コンタクトです!」
瞳を瞬いてユンギを見たミニョは、良く見えないのでと恥ずかしそうに答えながらユンギに向き直った。
「女神のイメージだから、瞳の色を少し変えさせたんだ」
ユンギの隣で、黙っていたソンジュンが静かに答え、声のする方に顔を向けたミニョが、首を傾げている。
「あっ、えっと、キム・ソンジュンssi!?」
「ええ、コ・ミニョssi!お久しぶりです」
「はぇ・・・」
挨拶をしたソンジュンは、微笑みながら二歩ほど前に出ると行き成りミニョの手を取り、握手をする様に包み込み、ミニョの肩を抱いていたテギョンは、目を大きく見開き、突然の事に手を取られたまま不思議な顔をするミニョは、ゆっくり首を傾げ、ソンジュンの行動に顔を手で覆ったユンギは、腰に手を当てて大きな溜息をつき、ミニョの手を握り締めたまま、顔だけテギョンを見たソンジュンの口元は僅かに上がっていて、その顔と視線が絡んだテギョンとの間に見えない火花のようなものが飛び交っていたのだった。
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よろぶん!あんにょん!
気儘に続きUPさせていただきました!楽しんで頂いてるようで嬉しいです!
最後まで読んで頂いてありがとうございました(*^▽^*)
それから先日の記事で、ご心配を頂きました皆様
更新は今まで以上にゆるゆるになりますが、元気ですo(^▽^)o
人形焼~美味しかった!
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byアメーバピグ |
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