「改めて紹介するわね!オ・ジョンアよ」
ユ・ヘイが、手を差し出して隣に座るジョンアをテギョンとミニョ、ワンコーディを前に紹介していた。
「コーディオンニ!こちらの方にお願いして良いのですか!?」
ミニョが、遠慮がちにワンに話かけるが、ふふと笑うワンは、頷いて、テギョンに聞いてるわと前に置かれたコーヒーカップを持ち上げた。
「ミニョのこの柔肌に化粧をしたいとは、思うんだけど、これでもA.N.Jellの専属担当なのよね・・・あんたに良い人が見つかるならそうして欲しいわ」
ワンが、ミニョの頬を摘みあげ柔らかく触ると、隣を見たミニョが、感嘆を漏らそうとしたのか口を開きかけ、テギョンが、先に反応を見せて、良い人って何だよっと聞いた。
「良い人は、良い人よ!専属契約してくれるって言うんだから、これ以上の人はいないじゃない」
「まだ、仕事も見ずに決められるかっ!」
「ああ、それ・・・ヘイに聞いたけど・・・」
テギョンの気にしている事は、仕事では無いと理解しているワンは、前に座るジョンアを見つめると上から下まで、座っているテーブルを避ける様に足元までをも覗き込み、ふふと笑うと彼なんですってと聞いている。
「ああ、えっと、実は、そう・・・です」
「見えないでしょ」
ヘイが、テギョンを真直ぐ見つめて意地悪そうに答え、嫌味の篭った表情に目を細めたテギョンは、ヘイを睨み返した。
「スタイルも完璧!このままモデルでも出来そうじゃない」
「は、ありがとうございます」
素直に礼を言ったジョンアをも睨みつけるテギョンは、唇に指を当てて、背中を引き、視線を上下に動かしている。
「お前・・・本当に、男が、好き、なのか・・・」
怪訝な顔で不躾な質問をするテギョンの膝にミニョが手を置いた。
「オッパ!失礼です!」
「煩い!お前の専属にするかどうかを見極めなきゃならないんだ!危険な人間を傍に置けるか!」
膨らむミニョを不満そうな唇で睨むテギョンは、チッと小さく舌打をしている。
「そんな事を言ったら、オッパだって!」
「何だよ!」
「オッパの事を好きかも知れないじゃないですか・・・」
ミニョの発言に一同がきょとんとすると一瞬の間の後、ヘイが、大きく手を振って笑いながらミニョを見た。
「ない!ない!」
「それは、絶対ありません!!」
ジョンアも体を前屈みに大きく首を振ってミニョを見ている。
「えっ!」
「あっ、えっと、すみません・・・」
ミニョのきょとんとした顔が、真直ぐジョンアを捉えるとミニョの大きな瞳に真直ぐ見つめられる恥かしさからか頬を染めて体を引いたジョンアは、小さく頭を下げた。
「オッパは、とっても素敵ですけど・・・」
ミニョが、ジョンアをジッと見つめるとヘイが片目を閉じてテギョンをちらと見てミニョに視線を向けた。
「それは、あんたにとって!だからね」
「あんただけに優しいのよ!」
ワンもカップに口をつけながら、ミニョを見下ろしている。
「そうでしょうか!?」
「そうなのよ」
見上げるミニョの頬を指先で突きながら遊んでいるワンは、ほんとにいつまでも可愛いわねと言っていて、その向こう側のテギョンが、睨んでいる事に気がついて、僅かに肩をあげて顔を逸らした。
「長い付き合いなんだから、いい加減、こいつの本性を知っといた方が良いわよ」
ヘイが、足を組み直して、カップを持ち上げ、背凭れに深く腰を落ち着けて、腕を組んでいるテギョンを上目遣いで見た。
「本性ですか!?」
「そっ!コ・ミニョって、女にだけ優しい本性」
「そうなのですか!?」
ベンチシートに浅く腰をかけていたミニョは、首だけ振り返ってテギョンに聞いた。
「・・・知るかっ!!」
横に逸れた女同士の話に軽く憤った低い声を発したテギョンの苛立ちにミニョも肩を竦めると、すみませんと小さく謝っていて、それを自分のせいと思ったのか、ジョンアが慌てて、話を始めた。
「えっと、あの、コ・ミニョssiのファンであるのは間違いないです!大好きです!でも、その、ええっと・・・」
テギョンに向って話をしているジョンアだが、ちらちらと横に座るヘイを気にしていて、顔こそ動かさなかったが、視線は、左右に泳いで、逸れる視線にテギョンが、ヘイを睨んでいる。
「わたしが、答えてあげるわ」
そんなテギョンの視線にカップに落としていた視線をあげたヘイが、カチャと音をさせてカップをテーブルに戻し、少しだけ顎をあげた。
「ミナムが、好きなのよ」
不満そうに膨れる顔と横目で腿の上に組んだ指を動かしながらヘイがそう言うと首を傾げたミニョとカップを持上げたテギョンと驚いて横を見たジョンアとワンは、そうなのねと頷いている。
「えっっと!?」
「ふん!知ってるわ!だから!辞めて貰ったんだし!仕事には文句も無かったわ!わたしを良く解ってたし・・・」
「えっ、えっ、ええええええ~~~~~」
ヘイの冷静な態度に小さくなるジョンアは、肩を竦めた。
「ふん!だから、わたしは、あなたが嫌いだわ」
軽い口調のヘイは、親しみのある声音でジョンアが、照れた様に俯いている。
「知ってます・・・」
「だから、ミニョを好きなのね」
ワンが、テーブルに肘をついて顎を支えて聞いた。
「はい!やっぱり双子だし!似ている所もあって、でも、全く違うし!それに、何よりも!もっと、綺麗にしてみたいって思ってって、あの頃は、ヘイの専属だったので、他で仕事をするとか考えてなかったんですけど!フリーになってみるのも良いかなと思って思い切って辞めたんです!」
嬉々として説明するジョンアの嬉しそうな顔を見つめる一同は、感心した様に頷いたが、ヘイが、隣から脇腹を突いている。
「ちょっと、結構失礼な事言ってるわよ」
ワンの顔を見つめながらヘイがそう言うと首を振ったワンは苦笑いをしたが、直に首を振った。
「大丈夫よ、気にしないで・・・」
「すっ、みません」
「仕方が無いわ、あなたじゃぁね・・・」
少しだけ含みを持たせた溜息交じりの返事で、黙って聞いていたテギョンが、僅かに眉を上げたが、何も聞かなかった。
「じゃぁ、OKって事でいいのね」
ヘイが、テギョンを真直ぐ見て同意を求めている。
「ふん!取り合えず、CM撮影をしてからだ!ELカンパニーの仕事だからな!あそこの社長は見る目が厳しいぞ!」
唇の端を僅かにあげたテギョンの言葉を同意と捉えたヘイが、頷きながら、良かったわねとジョンアの肩に手を置いた。
「代替わりした社長でしょ!まだ、若い・・・同じくらいじゃなかった」
ワンが、最後のお茶を飲み干し、カップをテーブルに戻している。
「ああ、一度会ったけど・・・シヌみたいな奴だったな」
立ち上がったテギョンは、ミニョに手を差し出すと、その手を取ったミニョが立ち上がるのと同時に皆が立ち上がって、ジョンアがテギョンとミニョにお願いしますと頭を下げるのだった。
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byアメーバピグ |
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