廊下から聞こえた女の声に怪訝な表情をしたテギョンは、リンと抱き合っているミニョを見て、誰だと聞いた。
「あっ、えっと、スタイリストさんだそうです」
「スタイリスト!?」
「ええ、ヘイオンニの紹介だって」
首を傾けて聞いてませんかと言ったミニョに顎に手を添えるテギョンは、視線を左右に数回彷徨わせると唇に触れて、ああと呟いている。
「いや、ミナムに今朝聞いたけど、ヘイが連れてくるって話だったぞ」
「あっ、そうなのですか!?わたしも初めてお会いする方なので」
そう言いながらミニョが、肩にかけていたタオルを外したが、露になったワンピースにテギョンの目が大きく見開かれた。
「なっ、なっ、なんだそれ」
「ああ、あの方にコーヒーを零されまして、で、リンと会ったので一緒にシャワーを浴びてたんです」
経緯(いきさつ)を説明するミニョと訊ねた事と違う答えが返ってきた事に益々目を見開くテギョンは、そうじゃないと勢いよく立ち上がっている。
「なっ、なっ・・・」
「なんですか!?」
ミニョを指差してどもり、二の句が告げないでいるテギョンに首を傾げるミニョは、指されている自身の身体を見回している。
「なっ、なっ、何でそんな格好なんだ!!」
「ああ、これ、その方に貸して頂きました」
「コ・ミニョssi~どうでしたか!?」
シャワールームに入ってきた女性が、声を出しながらロッカーの後ろから顔を出し、テギョンがいる事に気がつくと、すっ、すみませんと言って陰に隠れたが、そっと顔を覗かせてあの~と言い、ギロッと後ろを振り返ったテギョンにあっという顔をするとささっと横に出て、初めましてと頭を下げた。
「ファン・テギョンssiですね!初めまして!」
ミニョの前とは違い、やはり緊張するのか、少し上擦った声で挨拶をした女性は、恐縮した様に立っている。
「あんたはっ!」
ミニョの姿に違和感を覚えているらしいテギョンは、イラついた声で軽く怒鳴って振り返るとジロジロと女性を見た。
「あっ、えっと、ジョンアと言います」
「ヘイの友人か」
腕を組むテギョンの高圧的な態度に竦んでいる女性は、少し横にずれて居住まいを正して深呼吸をしている。
「ええ、そうです」
「来るのは、来週じゃ無かったのか」
「ええ、そのつもりでしたけど、帰国してたので場所だけでもと」
「帰国!?」
「ええ、わたし日本で仕事をしていたんです」
ジョンアの言葉に目を細めるテギョンは、考え込む様な仕種をして聞いた。
「専属希望なんだろ!?」
「ええ、向こうは、整理をつけてきました!コ・ミニョssiの専属になれるなら、これ以上の仕事はありませんので!!」
その言葉にテギョンの眉が僅かにあがり、寄せた瞳が更に鋭くなっている。
「ミニョの、ファンか」
「あっ、えっと、そう・・・です」
テギョンの眼光の鋭さに萎縮するジョンアは、僅かに踵を下げかけたが、その雰囲気に負けないためか胸を張り直して頷いた。
「ふん!ヘイの所に居たんだろ」
「ええ、ユ・ヘイの専属をしてました」
「独立して日本か」
「はい」
小気味よく交わされる会話にミニョをちらっと見たテギョンは、一つ言っておくと前置きをするとジョンアに正面から向き直って、大きく息を吸い込んでいる。
「ミニョにこういう格好をさせるな!」
「へっ!?」
「はっ!?」
突然、指差されたミニョときょとんとしたジョンアの声が重なり、同時にテギョンを見たが、唇を尖らせているテギョンは、ふんとミニョとジョンアを交互に見て、唇を左右に動かした。
「こういうって・・・」
「アッパ!!」
「露出の多い格好だ!ミニョには、似合わない!!」
ミニョの止める声にちらりと視線を移したテギョンだが、構わずに続けている。
「えっ・・・キャミワンピ・・・ダメですか・・・」
「もーアッパ!普通の服です!」
「普通じゃないだろ!そんなに肩を出して!何月だと思ってる!!」
ミニョに向き直って面白く無さそうに上目遣いな瞳を向けたテギョンは、上から下まで見下ろして瞳を閉じると頭を振った。
「夏でも反対するくせに・・・」
「あっ、えっと、そういうのは、お嫌なのですか」
テギョンを通り越してミニョに訊ねたジョンアは、首を振ったミニョにほっとした様な顔をしている。
「俺は嫌いだ」
「アッパは、肩を出したら何でも嫌いでしょ!」
「お前にそういう格好は似合わないと言ってるだけだ!」
「そんな事言ってCMは、OKしたじゃないですか!」
「あれはコンセプトが、水の中だったから袖があったらおかしいだろ!」
「水着じゃダメなんでしょ!」
「水着を着たいのか!」
売り言葉に買い言葉のいつもの口喧嘩が始まり、きょとんとしながらも困った様に戸惑っているジョンアの傍らにリンが近寄っていくと大丈夫だよと言った。
「着たくないです・・・」
「ふん!お前の仕事を決めてるのは俺だ、お前の嫌がる事をするつもりはない」
「オッパ・・・」
「お前の事を誰より解ってるのは俺だ!よく覚えとけ!!」
「・・・すみませんでした」
小さくなって謝るミニョにジョンアの隣に居たリンが、ねと笑顔を零すとそうねと言って膝を曲げたジョンアに首を傾げている。
「ねぇ、ヌナってさぁ・・・」
うんとリンを見たジョンアが、しゃがみ込んで、リンと同じ目線になるとにやっと笑ったリンが、ジョンアの肩に触れ、胸の辺りに手を差し込んだ。
「えっ!?」
「ヌナじゃなくって、ヒョンだよね!!」
その言葉にテギョンとミニョが、驚いて振り返り、胸を触られたジョンアは、はっ、ははと乾いた笑いを零していたのだった。
★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★
うーん!一人目完了!CMコンセプトもチョットだけ片鱗見えたでしょうか(^^)
さて、すっごい雨でしたね~大気の状態不安定~また今日も降るらしいって~
傘必須かな~・・・・・・・・・・・
お部屋に行ったら今日も~この話面白いってことよね(笑)
ありがとうございます(*^▽^*)ごちそうさまでした~(^○^)
![]() |
byアメーバピグ |
にほんブログ村