「うーん・・・っと・・・」
「あっぶ、ぶう・・・ぶ」
「えーっと」
ソリを抱いて庭に面したリビングの窓辺で、何かを探す様に伸びる腕に視線を重ね、首を傾げているミニョは、視線の先を辿って僅かに見える車道から車が敷地に入ってくるの見つけるとふふと笑ってソリを抱え直した。
「帰ってきましたね」
ソリと向き合うように腕の中で抱え直して顔を見合わせるとまるで頷く様に下がった頭に笑顔を零し、あなたも賢いのですかねと向きを変えて玄関に向かって行った。
「あ~う、うう」
まだ話すことも出来ないソリの手のひらがミニョの頬に触れ、きょとんとした表情がミニョを見つめ返して、玄関に辿りつくのと同時に扉が開くと、ミニョの首に腕を回そうとしていたソリの首が、扉に向けられている。
「オンマーたっだいまー!」
「おかえりなさい」
元気良くギターを背負ったリンが、玄関で靴を脱ぐのももどかしく、ミニョのお腹にぶつかる様に駆け寄ってくると軽い衝撃に下を見下ろしたソリとリンの顔が合い、へへと笑ったリンにきょとんとしたソリが、暫くジッと眺めていたが、口を開け笑顔を零してリンに向かって腕を伸ばし、体制の変わる体を抱え直しながら、ミニョが膝を折った。
「今日はどうでしたか」
「うん!レコーディングが決まったー」
「本当!?」
「うん!アッパが、OKだって言ってくれたー」
「そう、良かったわね」
ミニョが、リンの頭に手を乗せると、同じ目線の高さにあるソリの腕も伸び、リンの頬に触れ、まるでキスをする様に近づくと、リンの腕がソリの顔に伸びて、ただいまとソリの頬にキスをしている。
そんなやり取りを玄関でしている三人にいつからそこにいたのか、フッと鼻で笑う声が零れると三人を見下ろし、両手に紙袋を持ったシヌが立っていて、気がついたミニョが、驚いた顔を向けた。
「シヌオッパ!!」
「やぁ、ミニョ!こんにちは」
「こんにちは・・・って、オッパは!?」
敷地に入ってきた車は確かに、テギョンのもので、シヌの車ではなかった事にミニョの表情がきょとんとなると、クスクス笑ったシヌが、袋を玄関に置いて面白い顔だねと笑っている。
「オッパは・・・」
何かあったのかと瞬時に心配そうな顔になったミニョに違うよと笑顔を向けたシヌが、仕事だからと言った事に安堵の表情を浮かべたミニョは、ソリを抱いて立ち上がると、これを頼まれて来たんだと袋を指差した。
ミニョの腕の中で首を傾げて指をしゃぶっていたソリの小さな腕は、シヌに向かって伸び、ミニョが小さくあっと言う間にシヌの腕がソリを攫っていった。
「大きくなったね」
ほんの数ヶ月前までの、寝ている姿しか知らないシヌが、腕に抱いたソリにまるで父親の様に愛おしみながら頬をすり寄せ、頬に伸びる小さな手のひらにキスをして、こんにちはと言っている。
「あぶ、ぅぶぅ」
「ふふ、ミニョに似てるね」
「そうですかぁ」
シヌの持ってきた袋の口を開いたミニョが、何です!?と聞きながら、中を覗き込んでいて、お茶にしましょうとシヌに言うと、ああ、と頷いたシヌが、靴を脱いで袋を持ち上げたミニョと並んでリビングに歩き出した。
「テギョンがミニョの為にって、本当はソリの為だろうけど、買い物をしたんだよ」
ソリに撫でられる事に擽ったそうな顔をしてミニョに続いてリビングに入ったシヌは、既にリビングのソファでギターを弾いていたリンの隣に腰を降ろすと、前のテーブルに袋を置いて、ダイニングに向かったミニョに向けて話を始めた。
「そうしたら、ジェルミが、それを見て自分も買うって、それで、ミナムも姪っ子の為に持って行けって買い物を始めて・・・」
俺もだけどねとお茶の道具を持ってリビングに戻って来たミニョに見せられた紅茶を見て今日はこっちと言ったシヌは、抱いているソリの動きに合わせ少し体を斜めに変え、リンのギターが見える様にしたが、腕を伸ばそうとするソリの手のひらを包んで、まだダメだよと笑うと少しだけ不満そうに歪むソリの腕がシヌの肩を叩いて、リンから僅かに離れる様に間を空けた。
「ロケだったのですか!?」
「そう、『A.N.Jellの街角デート』!?」
面白そうだろと言ったシヌの前にティーカップを置いたミニョは、小さく欠伸をしてシヌの肩に顎を乗せコトンとなったソリを見て、お昼寝の時間ねと言って、腕を伸ばそうとしたが、シヌが一瞬早く立ち上がり、横に置かれたベビーベッドにソリを寝かせ、布団を掛け、隣に立ったミニョに少し痩せたかと聞いている。
「そうですか」
腰に両手をあて、左右を見回して首を傾げるミニョは、だったら嬉しいですけどと僅かに女心を覗かせてシヌを見上げ、その表情を鼻で笑ったシヌは、そうだなとミニョの髪に軽く触れた。
「ミニョは、いつでも可愛いよ」
「ありがとうございます」
ソファに戻ったシヌと向かい合わせにテーブルの前の床に腰を降ろしたミニョが、リンの前にもミルクたっぷりのミルクティーを置いて、デートですかと聞いた。
「ああ、デートというかデートに行ったら彼女に何をプレゼントするかって企画だったんだけど」
事前にアンケートをとっていたらしくてねとシヌがカップに口をつけ、そうだと思い出した様に袋の一つを指差してそっちにケーキがと言って、中腰になりながらミニョの傍らの大きな袋の中から少し小ぶりの紙袋を取り出すと、リンに食べるだろと聞き、うんと嬉しそうに頷いたリンが、ギターをソファに立てかけてダイニングに走って行った。
「シヌオッパなら、やっぱりお花とか!?」
リンの行動に素早いですねと笑ったミニョは、カタンカタンとダイニングの扉を開けてお皿とフォークを取り出して嬉しそうに戻ってきたリンからそれを受け取ると隣に腰を降ろしたリンの前に箱を開いて見せ、どれですかと訊ね、大きな苺のついたケーキを指差したリンの為にお皿に乗せ変えて渡すとシヌと自分の分をお皿に取り出している。
「そうだね、喜んでくれるなら何でもしてあげたい!かな」
少しだけ考え込む様にお茶を飲んでいるシヌが、ミニョを見つめて何かを思い出した様に瞳を閉じたが、俯いていたミニョはそれには気付かずシヌを見上げていたリンが、フォークを咥えながら不思議な顔をした。
「ふーん・・・ジェルミならきっと美味しい食べ物ですよね」
シヌの前の皿にフォークを置いて、リンと同じ大きな苺の乗ったケーキを見つめたミニョは、美味しそうと言いながら口に含み満面の笑顔を浮かべた。
「そうだね」
ミニョの表情にクスクス笑っているシヌもフォークを持ってお皿を持ち上げるとリンとミニョの視線がふたりとも平らげてしまった苺に向かった事に大きく笑って、困ったなと言ってミニョにごめんねと言いながらリンのお皿に苺を乗せ恥かしそうに伏目になったミニョが、慌てて話の先を促している。
「ミッ、ミナムオッパはぁ・・・」
赤くなる頬を押さえて、クスクス笑っているシヌに膨れながら笑いすぎですと言うミニョは、フォークを下ろしたリンにカップを引き寄せ渡した。
「ミナムは、意外と真面目だったな、素材を買って手作りすると言ってた」
「ふふ、器用ですからね」
「そうだね」
「オッパは・・・」
テギョンはねと言うシヌは、早朝からのロケを思い出す様にクスクス笑って、愛されてるよねとミニョに笑顔を向けると突然のシヌの言葉に慌てたミニョが、挙動不審に首を動かした。
「ぶつぶつ言ってたけど仕事だからね!ミニョの事を考えてたと思うよ」
それで、その袋とシヌが、指を指すとミニョの傍らの袋から飛び出している白いふかふかした塊に目を向けて笑っている。
「ミニョがこういうのが好きだって、選んでたけど、本当はソリの為だよね素材とか気にしながら、実は、一番真剣に選んでたよ」
仕事そっちのけでねと可笑しそうに笑っているシヌにミアネと謝ったミニョを不思議な顔で見つめたリンが、どうしてと聞いた。
「もー、アッパは少し自分勝手なところがあるので・・・」
「それが、ファン・テギョンだからね」
長年の気安さでミニョがテギョンの替わりに恥かしそうに謝った事を充分承知しているシヌが、大丈夫と言って、番組もそれなりに盛りあがった事を伝えるとミニョも安堵の表情を浮かべている。
「まぁ、それで、テギョンの仕事は終る筈だったんだけど」
そう言ったシヌが、リンを見つめて、少し深い溜息を付いた事に同じ様にリンを見たミニョは、不思議な顔をしてシヌを見つめているのだった。
★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★
ギャーなぜなぜ・・・シヌになったんだー(゚Д゚;)
シヌがパパみたい・・・超無理やり展開・・・ワーン泣いてやる~
うーん・・・次回までにまた考えてきます・・・・。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
壊れてるぜ・・・僕ちゃん・・・きっとはずれたせいなんだ(ijiiji)・・・(泣)
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