リビングのピアノの脇に置かれたベビーベッドから天井に伸ばされる小さな手に時折触れては、キャッキャと笑ってくれる顔を嬉しそうに覗き込むリンが、小気味よい柔らかい曲を紡ぎだし、ダイニングでは、ミニョが、昼食の準備をしながら、リンの奏でるピアノの音色に表情を崩し、時折聞こえるソリの声に満面の笑みを浮かべていた。
「ふふ、楽しそう」
この一年あまり、ソリとミニョの為にと仕事を抑えていたテギョンも今ではすっかり元の様な忙しさに戻り、今日も事務所に向かっている。
「ねぇーリン!お昼どうしますか!?」
久しぶりにふたりの昼食準備をしながらミニョが、リンに声を掛けた。
「何でも良いよー」
冷蔵庫に首を突っ込んで頭を悩ませているミニョと反対にあっけらかんとしたリンの声がリビングに響き、その声で、音が中断された事にソリの表情が、きょとんとしている。
「ソリはー!?」
「うーん・・・ソリは、まだミルクなので、オンマとリンのふたりなのですよー」
「アッパはー!?」
ピアノから指を離したリンが、椅子を降りてくると、傍らのベッドに手を伸ばしてソリの横顔を笑顔で見つめた。
「ふわふわだねー」
毎日、毎日、そんな事を呟いてソリの頬や手に触れているリンにクスッと笑ったミニョが、テギョンは、出て行ったばかりだと伝え、オムレツにしましょうと卵を片手にシンクの前に立っている。
「リンもそうでしたよ」
ソリの額に軽く触れ、ダイニングに向かうリンは、後ろを気にしながらカウンターまで来ると椅子に座った。
「僕もあんなにちっちゃかったの!?」
「ええ、お写真見たことあるでしょう」
「うん!オンマ、もっと太ってたよね」
卵をボールに割り入れながら、リビングのソリを見て、リンに笑顔を向けるミニョは、この数ヶ月で少し痩せたが、それが更に美しさを引き出していて、カウンターに肘をついてミニョを見ているリンが、嬉しそうに微笑んでいる。
「女性にそういうことを言っては、いけませんよ」
嗜めるように悪戯っぽく片目を閉じたミニョは、リンの時もねとボールに割り入れた卵を混ぜ始め、それを胸に抱えながらリンを見ていて、混ざっていく卵の黄色を見つめていたリンが、やりたいと言って椅子に立ち上がった。
「リンの時も最初の数ヶ月でもっと痩せましたよ」
「そうなの!?」
手を洗い、シンクからカウンターに回ってきたミニョが、リンの胸にボールを押さえ込む様に渡すとこれねと泡だて器を渡し、軽く混ぜてねと言って立ち上がった。
「ええ、本当に、何もかもが初めてで、オッパ達にどれだけお世話になったか、判りません」
ソリが横になるベッドに歩いて行きながら話をするミニョは、中を覗き込むとストッパーを外して、ダイニングに少し近い位置にベッドを動かし、陽のあたり具合を調整しながら、中に腕を伸ばした。
庭に面した一角に置かれたロッキングチェアーにソリを抱いて腰を下ろしたミニョは、緩く着こなしているニットを腹からたくし上げ、下に身に付けているチューブトップをずらし授乳を始める。
緩く揺れる椅子の前後運動に従い、時に強く吸い付く唇と上下される喉に笑みを零すミニョの顔は、陽に当たり、まるで聖母マリアの様に輝き、お乳を与える姿が一枚の絵の様に映し出されていた。
「収めたいよね」
突然、後ろから掛かった声とシャッター音に驚いたミニョが顔だけ振り返るとそこには、出て行った筈のテギョンが、手を顔に翳して立っていて、その横でユンギが携帯を構え、足元には、ユソンとジュンシンも立っていた。
「オッパ・・・」
「アッパ!皆も・・・」
どうしたのと手を休める事も無く歩み寄ったリンの頭に手を乗せたテギョンが、不機嫌そうに唇を尖らせると、ミニョが、着衣を直しているのを待っている男性人は、そこから一歩も動かず、子供達は、リンの顔を見てソリを見に来たと言っている。
「そこでこいつらに会ったんだ」
「公園の横を歩いてたらテギョンにナンパされました」
おどけてみせるユンギにギロッと睨みを利かせるテギョンは、ふんと鼻を鳴らすと立ち上がったミニョを見て、ユンギと子供達を前に促した。
ベッドにソリを寝かせたミニョが、眠そうだから静かにねと唇に人差し指を当てた事に素直に頷いたユソンとジュンシンは、ベッドの上から欠伸を噛み殺しているソリを見つめ、互いに顔を見合わせるとどちらとも無く手を握っている。
「かっわいいー」
「思った通りだなー」
「うん!やっぱり似てる」
顔を見合わせて手を取りあい、ソリに笑顔を向けるふたりは、ミニョの言いつけを守って小声で話し、しかし、リンが、アッパと言った事にくるっと振り返ると唇に人差し指をあてている。
「大丈夫だよ!僕のピアノでも起きないもん!」
「ふふ、そうね、リンのピアノは、子守唄だから」
リンからボールを受けとったミニョの横からボールを攫ったテギョンが、中を確認していて、泡だて器を持ち上げながら、昼飯かと呟きカウンターに向かった。
ユンギを促したミニョは、ベッドの周りに集まっている子供達に視線を送り、感嘆の声を発しているユソンとジュンシン、それに加わったリンに口元に手を当ててクスクス笑っている。
「今日は、練習じゃないですよね」
カウンターの椅子に座ったユンギに笑顔でそう聞くと頷いたユンギが、後ろを振り返ってあいつらがと親指を立てた手で示している。
「ずっと、行きたいと言ってたのですが、ソンベも僕も都合が付かなくて」
照れた笑顔でミニョを見るユンギの視線は、少し眩しそうに細められた。
「韓国にいらっしゃらなかったでしょう」
「ええ、アメリカに行ってました」
お茶を差し出されて、カップを持ち上げたユンギは、軽く頭を下げながら、それに口をつけ、そうですかと言ったミニョは、ところでと後ろからミニョの腰に手を回して立っているテギョンに振り返り、オッパと小さく首を傾げている。
「この手は何ですか!?それに仕事に行ったんじゃ」
ミニョの腰に回していた手を持ち上げられ、下に降ろされたテギョンは、不機嫌そうに唇を尖らせると、野菜を持ち上げたミニョを横目にカウンターを回りユンギの横に腰を降ろした。
「そこでこいつらに会ったんだよ!」
「それは、さっき、聞きました!行かないのですか」
冷静に言葉を返すミニョに上目遣いの視線が突き刺す様に睨み付けるけれどまるで効果も無くて、笑顔を返すミニョにユンギがクスクス笑っていてテギョンの唇がますます尖る。
「だいたい、お前が変な事を言うからだろ!!」
笑っているユンギに矛先を変えて、きつい眼差しで見つめながら、ミニョに向かって手を出したテギョンは、水と要求した。
「変な事ではないよ!純粋な興味だ!」
「それが変だって言ってるんだ!」
「何だよ!テギョンは二度目かも知れないけど、俺は初めてだから、見せてくれたって良いだろう!!」
「煩い!お前に見せるものなどない!!」
突然始まった言い争いにきょとんとしたミニョが、テギョンの手にペットボトルを渡すと、その向こうのベッドの脇で子供達もきょとんとしてユンギとテギョンを見ていたリンが首を傾げてユソンとジュンシンに何と聞いている。
「何ですか!?」
ミニョは、一方的に機嫌が悪いテギョンに聞くのを諦め、ユンギに向き直るのだった。
★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★
あんにょん!ちょっと時間が足りないので途中だけどUP!
こういうの、本当は嫌いなんだけど・・・^^;
まぁ、読者様にとってはこういう方が楽しみもあるんだろうなと思いますが、
何せ途中であげれない性分(笑)(^^ゞ続き気にしていただけたら嬉です!
次回も読んでね(^^)ご訪問ありあがとうございましたo(^▽^)o

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この一年あまり、ソリとミニョの為にと仕事を抑えていたテギョンも今ではすっかり元の様な忙しさに戻り、今日も事務所に向かっている。
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久しぶりにふたりの昼食準備をしながらミニョが、リンに声を掛けた。
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冷蔵庫に首を突っ込んで頭を悩ませているミニョと反対にあっけらかんとしたリンの声がリビングに響き、その声で、音が中断された事にソリの表情が、きょとんとしている。
「ソリはー!?」
「うーん・・・ソリは、まだミルクなので、オンマとリンのふたりなのですよー」
「アッパはー!?」
ピアノから指を離したリンが、椅子を降りてくると、傍らのベッドに手を伸ばしてソリの横顔を笑顔で見つめた。
「ふわふわだねー」
毎日、毎日、そんな事を呟いてソリの頬や手に触れているリンにクスッと笑ったミニョが、テギョンは、出て行ったばかりだと伝え、オムレツにしましょうと卵を片手にシンクの前に立っている。
「リンもそうでしたよ」
ソリの額に軽く触れ、ダイニングに向かうリンは、後ろを気にしながらカウンターまで来ると椅子に座った。
「僕もあんなにちっちゃかったの!?」
「ええ、お写真見たことあるでしょう」
「うん!オンマ、もっと太ってたよね」
卵をボールに割り入れながら、リビングのソリを見て、リンに笑顔を向けるミニョは、この数ヶ月で少し痩せたが、それが更に美しさを引き出していて、カウンターに肘をついてミニョを見ているリンが、嬉しそうに微笑んでいる。
「女性にそういうことを言っては、いけませんよ」
嗜めるように悪戯っぽく片目を閉じたミニョは、リンの時もねとボールに割り入れた卵を混ぜ始め、それを胸に抱えながらリンを見ていて、混ざっていく卵の黄色を見つめていたリンが、やりたいと言って椅子に立ち上がった。
「リンの時も最初の数ヶ月でもっと痩せましたよ」
「そうなの!?」
手を洗い、シンクからカウンターに回ってきたミニョが、リンの胸にボールを押さえ込む様に渡すとこれねと泡だて器を渡し、軽く混ぜてねと言って立ち上がった。
「ええ、本当に、何もかもが初めてで、オッパ達にどれだけお世話になったか、判りません」
ソリが横になるベッドに歩いて行きながら話をするミニョは、中を覗き込むとストッパーを外して、ダイニングに少し近い位置にベッドを動かし、陽のあたり具合を調整しながら、中に腕を伸ばした。
庭に面した一角に置かれたロッキングチェアーにソリを抱いて腰を下ろしたミニョは、緩く着こなしているニットを腹からたくし上げ、下に身に付けているチューブトップをずらし授乳を始める。
緩く揺れる椅子の前後運動に従い、時に強く吸い付く唇と上下される喉に笑みを零すミニョの顔は、陽に当たり、まるで聖母マリアの様に輝き、お乳を与える姿が一枚の絵の様に映し出されていた。
「収めたいよね」
突然、後ろから掛かった声とシャッター音に驚いたミニョが顔だけ振り返るとそこには、出て行った筈のテギョンが、手を顔に翳して立っていて、その横でユンギが携帯を構え、足元には、ユソンとジュンシンも立っていた。
「オッパ・・・」
「アッパ!皆も・・・」
どうしたのと手を休める事も無く歩み寄ったリンの頭に手を乗せたテギョンが、不機嫌そうに唇を尖らせると、ミニョが、着衣を直しているのを待っている男性人は、そこから一歩も動かず、子供達は、リンの顔を見てソリを見に来たと言っている。
「そこでこいつらに会ったんだ」
「公園の横を歩いてたらテギョンにナンパされました」
おどけてみせるユンギにギロッと睨みを利かせるテギョンは、ふんと鼻を鳴らすと立ち上がったミニョを見て、ユンギと子供達を前に促した。
ベッドにソリを寝かせたミニョが、眠そうだから静かにねと唇に人差し指を当てた事に素直に頷いたユソンとジュンシンは、ベッドの上から欠伸を噛み殺しているソリを見つめ、互いに顔を見合わせるとどちらとも無く手を握っている。
「かっわいいー」
「思った通りだなー」
「うん!やっぱり似てる」
顔を見合わせて手を取りあい、ソリに笑顔を向けるふたりは、ミニョの言いつけを守って小声で話し、しかし、リンが、アッパと言った事にくるっと振り返ると唇に人差し指をあてている。
「大丈夫だよ!僕のピアノでも起きないもん!」
「ふふ、そうね、リンのピアノは、子守唄だから」
リンからボールを受けとったミニョの横からボールを攫ったテギョンが、中を確認していて、泡だて器を持ち上げながら、昼飯かと呟きカウンターに向かった。
ユンギを促したミニョは、ベッドの周りに集まっている子供達に視線を送り、感嘆の声を発しているユソンとジュンシン、それに加わったリンに口元に手を当ててクスクス笑っている。
「今日は、練習じゃないですよね」
カウンターの椅子に座ったユンギに笑顔でそう聞くと頷いたユンギが、後ろを振り返ってあいつらがと親指を立てた手で示している。
「ずっと、行きたいと言ってたのですが、ソンベも僕も都合が付かなくて」
照れた笑顔でミニョを見るユンギの視線は、少し眩しそうに細められた。
「韓国にいらっしゃらなかったでしょう」
「ええ、アメリカに行ってました」
お茶を差し出されて、カップを持ち上げたユンギは、軽く頭を下げながら、それに口をつけ、そうですかと言ったミニョは、ところでと後ろからミニョの腰に手を回して立っているテギョンに振り返り、オッパと小さく首を傾げている。
「この手は何ですか!?それに仕事に行ったんじゃ」
ミニョの腰に回していた手を持ち上げられ、下に降ろされたテギョンは、不機嫌そうに唇を尖らせると、野菜を持ち上げたミニョを横目にカウンターを回りユンギの横に腰を降ろした。
「そこでこいつらに会ったんだよ!」
「それは、さっき、聞きました!行かないのですか」
冷静に言葉を返すミニョに上目遣いの視線が突き刺す様に睨み付けるけれどまるで効果も無くて、笑顔を返すミニョにユンギがクスクス笑っていてテギョンの唇がますます尖る。
「だいたい、お前が変な事を言うからだろ!!」
笑っているユンギに矛先を変えて、きつい眼差しで見つめながら、ミニョに向かって手を出したテギョンは、水と要求した。
「変な事ではないよ!純粋な興味だ!」
「それが変だって言ってるんだ!」
「何だよ!テギョンは二度目かも知れないけど、俺は初めてだから、見せてくれたって良いだろう!!」
「煩い!お前に見せるものなどない!!」
突然始まった言い争いにきょとんとしたミニョが、テギョンの手にペットボトルを渡すと、その向こうのベッドの脇で子供達もきょとんとしてユンギとテギョンを見ていたリンが首を傾げてユソンとジュンシンに何と聞いている。
「何ですか!?」
ミニョは、一方的に機嫌が悪いテギョンに聞くのを諦め、ユンギに向き直るのだった。
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こういうの、本当は嫌いなんだけど・・・^^;
まぁ、読者様にとってはこういう方が楽しみもあるんだろうなと思いますが、
何せ途中であげれない性分(笑)(^^ゞ続き気にしていただけたら嬉です!
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