2月13日。
午後。
ミナムの家の玄関で今にも泣き出しそうな顔をしてリンの手を引いたミニョは、双子を抱いたヘイに怪訝な顔を向けられていた。
★★★★★☆☆☆★★★★★
「ぅわーん・・・オンニィ・・・どうしたら良いですかぁ・・・」
「どうしたらって・・・言っちゃったんでしょ!?」
「そうなんです!!」
「そんなに力一杯言われてもねぇ・・・」
情けない顔をしているミニョの向かいで、足を組んで優雅にお茶を飲んでいるヘイは、知らないわと冷静に首を振っている。
「何か良い方法を教えてください!」
「良い方法ったって、ねぇ・・・あいつ、喜んで仕事に行ったんでしょ」
テギョンの顔を想像しているのか、ミニョの顔を見て呆れたヘイは、しくじった顔をしている。
「そうなんです!喜んで仕事に・・・ああーもう、どうしたら良いのです」
ミニョは、自身に呆れているのか、シュンとして手を動かしていた。
「あんたが、悪いんじゃない」
ヘイは、カップとソーサーをテーブル置くと肘の下に腕を置いて、右手で唇に触れた。
「計画をぶち壊したのあんたなのよ」
「うっ・・・そうですけどぉ・・・助けて下さいよぉ」
瞳をうるっとさせて見上げ、泣きつくミニョに溜息を零したヘイは、何であたしがと良いつつも携帯を持ち上げている。
「良い!?ミナムに頼んであげるから、あんたは、最初の予定通り、買い物に行きなさい!わたしが、教えたもの全部買ってくるのよ!」
解ったと言って指を指しながらミニョの返事もまたずにヘイは、携帯を耳に当てている。
★★★★★☆☆☆★★★★★
(なんだよ)
ミナムの声が携帯から聞こえチラッとミニョを見たヘイが、携帯に向かって事情を話し始めた。
「そうなの、この子、ファン・テギョンに喋ったらしいのよ」
(ははーん、だから、あんなに機嫌が良いんだ)
「そうなの!?」
(ああ、どっかに飛んでいけそうな位、笑ってるぜ)
「単純なのね」
(そうだな)
「とにかく、そっちを任せるわ・・・わたしは、この子を何とかするから・・・」
(わりぃな・・・)
「ほんとよ、幾つになっても手が掛かるヨドンセン(妹)・・・」
(面倒見の良いヘイを愛してるぜ)
「ふん、家は家で、ちゃんとバレンタイン祝うんだから、早く帰ってきてよね」
(アラッソ(了解))
携帯を切ったヘイは、立ち上がり、仁王立ちで腕も組んでミニョを見下ろしている。
「良い!?バレンタインは、明日なのよ!あんたがやりたいって言ったから手伝ったのに・・・それをぶち壊すなんて絶対ありえないわ」
指を指して、腰を折り、ミニョを見下ろして顔を覗き込むと、それでも、にこっと笑って顎をあげた。
「可愛い妹の為だから何とかしてあげるわ」
ミニョの頬にパーッと明るく花が咲いた様な笑顔が戻り、ヘイを見上げている。
「ありがとうございます!オンニ!」
「じゃぁ、買い物に行くんでしょ!?」
「はい!」
「家もまだバスケット用意してないのよね・・・男ばかりだから、3つ、あっ、違うわ、4つか・・・パパにあげないと拗ねちゃうわ」
ヘイは、長い髪を掻き揚げると腰に手を当ててまたミニョに指を向けた。
「良い!?助けてあげるんだから!言うとおりにしなさいよ!」
「はい!オンニ!勿論です!」
ヘイを見上げるミニョは、満面の笑みで口元に拳を作っている。
「はぁー、ったく、何でこんなに手の掛かるのを選んだのかしら、ファン・テギョンのセンスを疑うわ」
ぶつぶつ言いながらリビングを出て行ったヘイは、廊下でリンを呼んだ。
「なーにーアジュモニー!?」
隣の部屋から顔を覗かせたリンが、ドアにへばりつく様に顔だけ出している。
「ミニョが、買い物行くけど、あんたどうする!?」
「僕ー!?うーん」
部屋の中を見て、悩んでいるようなリンにヘイは笑って聞いた。
「ここにいても良いわよ!双子の遊び相手をしていてくれると助かるし」
「うーん・・・じゃぁ、ここで遊んでるー」
「そう、じゃぁ、パパとママに言っておくから双子のこと宜しくね」
「アラッソー」
返事をしながら軽く手を振ったリンは、さっさと部屋に戻ってしまい、それに一瞬、きょとんとしたヘイは、ミナムみたいねと言っている。
「ミーニョー、着替えてくるから、待っててねー」
リビングに向かって声だけ掛けたヘイは、階段を昇っていった。
★★★★★☆☆☆★★★★★
「さ、行くわよ!」
ミニョの手を引いたヘイが、玄関でリンに見送られて、外に出た。
「オンマ、チョコレート一杯ねー」
リンは、手を振って、ミニョを送り出し、車止めに止まる赤い車にミニョを促したヘイは、乗り込むのを確認するとすぐにエンジンを掛け発車させるのだった。
★★★★★☆☆☆★★★★★
「さーて、俺も仕事するか」
携帯を閉じて、スタジオに戻ったミナムは、新曲の歌チェックをしているテギョンを見るとニッと笑って、両腕を頭の後ろに組んでスタジオに入って行った。
「ミナム、お前のパートだ」
テギョンが、譜面を突き出して、顎をしゃくった。
「ああ」
「お前、最近、MCばかりであまり歌ってないだろ!?喉のケアとかちゃんとしているのか!?」
テギョンは、番組のチェックをしているぞとミナムに言うとああと短く答えたミナムは、そうだなと喉を擦っている。
「人の歌ばかり歌ってたからな・・・ちゃんとするよ」
「そうか・・・まぁ、お前の事だから安心はしてるがな」
プロとしての自覚を認めるとテギョンがミナムに言うとありがとうとあっさり答えたミナムが、それよりと言った。
「ヒョン、明日のバレンタイン、ミニョと過ごすでしょ!?」
「ああ、ミニョというより、三人だけどな」
テギョンは、ジェルミのリズムを確認していて、ミナムに背中を向けたまま答えた。
「ふたりで過ごしたくない!?」
キーボードに向かったミナムに肩口で振り返ったテギョンは、怪訝な顔をしている。
「どういう意味だ!?」
「恋人同士に戻ってふたりっきりのバレンタインしたくないかって言ってんの!」
キーボードの蓋を開けたミナムがニヤニヤしながらテギョンを見るとシヌとジェルミが、顔を見合わせている。
僅かに開いた唇に触れたテギョンは、それはと小さく呟いた。
「まぁ、したいってのが、本音だよな・・・」
ミナムが代弁するように続けた。
「俺もしたいし」
「ミナム!何かあるの!?」
ジェルミが、テギョンをチラッと見て、その向こう側にいるミナムに聞いた。
「うん!今日のヒョンすっごい機嫌良いでしょ」
本人を前にして遠慮もないミナムが言うとああ、と答えたシヌが、テギョンを見ている。
「何かあったんだなと思ってたんだけど」
「そんなに違うか!?」
テギョンが自身の顔を撫でながら周りを見回した。
「違うよ」
「違う」
「全然、怒らないし」
「いや、今朝ミニョがな・・・」
そう言って、テギョンが、話し始め、シヌやジェルミが、嬉しそうに聞いているとミナムの携帯が、また鳴った。
「あー残念、時間切れ!ヒョン!今日の仕事終わりにしようぜ」
「まだ、何にもしてないだろう!」
テギョンが、ギロッと睨んでいる。
「ミニョが、お迎えにきてるよー」
携帯を振って画面を見せたミナムは、ああと言ってメールの返信をしている。
「ミニョが!?」
「そっ、明日のバレンタイン・・・ミニョなりに計画があったみたいだけどヒョンにばれちゃったんで、泣いてるんだってさ」
立ち上がったミナムは、ポケットに携帯を入れるとドアに向かう。
「ヘイが困ってるんで、ヒョンに返すからさぁ、慰めてよ!ついでに、リンは、家で預かってるし!後は、ミニョに聞いて」
「ミニョに!?」
「そう、それから、これも持ってって・・・」
そう言ってミナムはドアの陰に置かれていた、ダンボールを持ち上げてテギョンに渡し、シヌとジェルミにも持って帰る様に言った。
「えー!俺、貰っても困るよー!」
「俺も、食べないからな」
「そー言うだろうとおもったから、食べられそうなのだけ厳選して手紙だけ外して写真つけといた!ファンレターは読むだろ!」
ミナムが、笑ってそう答えた。
「ああ、それなら・・・」
「ミナム気が利くー」
シヌとジェルミが頷いて箱を受け取ったが、テギョンは二人の箱を見て、自分との大きさの違いに怪訝な顔をしている。
「何で、俺のだけこんなに入ってるんだ!?」
大小さまざまなチョコレートが入っている箱を見つめている。
「ミニョが、使うから」
ミナムは、そう言うと自身の分の箱を蹴飛ばしながら続けた。
「家のも多いんだよなぁ、まぁ、双子にくれてやるには、丁度良いんだけどヘイも溶かしてケーキにするとか言ってたから、ミニョもそのつもりじゃないの!?」
「ケーキか・・・」
「まぁ、でも、ヒョンとリンの分は、別に用意してると思うけどミニョだからさぁ、去年も事務所に受け取りに来て、教会に持って行ってたし・・・」
「そうか・・・」
ミニョの優しさに嬉しそうに微笑むテギョンは、じゃぁ、終るかと素直に言った。
「俺も帰るけど、ヒョン達はどうする!?」
ミナムの問いにシヌとジェルミは、それぞれ、この後の予定を話して、事務所に残ると言ったので、ミナムとテギョンは、じゃぁなと言い残して箱を持ってスタジオを後にしたのだった。
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Favorite music excerpt 再生リストからchoiceコントロールから音量変更可 不可はページ再読込❦一部字幕ON&設定で日本語約可
loveYou're Beautiful❦Story it was based Korean drama "You're Beautiful" secondary creation.❧
Hope to see someday"You're Beautiful" of After that.
Aliasすずらん──長い長い「物語」を続けております。貴方の癒しになれる一作品でもある事を願って。イジられキャラテギョンssi多(笑)
交差点second掲載中❦フォローしてね(^▽^)
コメディ・ほのぼの路線を突っ走っています(*^▽^*)あまりシリアスは無いので、そちらがお好きな方は、『悪女』シリーズ等を気に入って頂けると嬉し。
『テギョンとミニョの子供・・・』という処からお話を始めオリキャラ満載でお届けしておりましたが、登場人物も交差し始め統一中。
長らくお付き合いいただいている方も初めましてな方もお好きな記事・作品等教えて頂けると嬉し(^v^)
ご意見ご要望はこちら★すずらん★メッセージを送ってください。BM仕様限定のごくごく一部解除しました。
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