さてさて、今回のお話・・・ちょっと繋がり不安だけど、どうぞ
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「一緒にいる理由は簡単だろ!俺の子ってバレた時の対策だろう!万が一、俺のファンでもいれば、当然リンの事も知ってるだろうからな」
テギョンが、嘲笑うと、んっと顎を少しあげて、だから女かと言い直した。
「女の格好をさせて、マ・室長の娘ってことで通すつもりだったのか!?」
ミナムを問い詰めている。
「うーん!!素晴らしい!!」
笑顔で手を叩いたミナムだが、すぐ真顔になった。
「でも、半分正解!」
「どういうことだ!?」
テギョンの質問には答えず音響装置に近づいたミナムは、マイクのスイッチを入れた。
小さな雑音と共にリンの声が聞こえてくる。
「終わりー!?」
「ああ、これで、最後だな」
マ・室長の声も聞こえてきて、チラッとミナムを見たテギョンは、ミニョの横に立つと下を見下ろした。
「今日は、泣き出さないんだな!」
マ・室長がリンに向かって聞いている。
にっこり笑顔を作ったリンは、うんと頷くとこれと言って長いフリンジの付いた帽子を触って見せた。
「ミナムにお願いしたの!女の子ならアッパに似てるって言われないから、見えない様にするにはどうしたら良いのって聞いたー」
「それで、その格好だったのか」
マ・室長が、マジマジとリンの姿を見ている。
「オンマに似てるでしょ!」
「ああ、シスターにそっくりだ!」
にっこり笑うリンは、それにねーと言った。
「アンしゃちょーにこの部屋なら良いよって言ったのー!」
「何で!?」
「オンマの写真が、一杯あるからー!!」
リンが、ぐるっと一回り、周りを見回した。
「アレ!? って事は・・・」
マ・室長が、顎に手を当てて腕を組んだ。
「シスターに話をしに行った時は、リンssiもう知っていたのか!?」
「うん!!」
リンが、笑顔で答えている。
「アンしゃちょーが、マー・室長に説明に行かせるって言ってたのー」
リンは、マ・室長が、ミニョに説明に来た経緯を話しているが、その話は当然ミニョもテギョンも初耳で、ミナムも驚いたように振り返った2人の顔を見ていた。
「どういうことだよ!?」
「俺だってそれは知らないぜ!」
ミナムが、半分の答えを導き出すだけの筈だったのに全く聞き覚えが無いと漏れてきた話に戸惑っている。
3人はマイクの声を拾いながら、また下を見下ろした。
「コンサートで、僕にやって欲しかったんだけどアッパにそれを言ったら怒られたんだってー、だから、新しい子を捜すんだって言ってたー!でも、アッパが審査をしたら、全部ダメって言いそうだからって言われたの」
「ああ、ファン・テギョンなら、子供なんてって言い出しそうだな」
はははとマ・室長が笑っている。
その時、審査をしていたらしいスタッフが、リンとマ・室長に近づいていった。
「選考的にこの3人だけど、どう!?」
リンになにやら紙を見せている。
「えっとねー、この子とこの子は大丈夫、この子は、ダメー」
リンが、紙に指を指しながら、スタッフにOKを出すと、解ったと言ったスタッフがパーテーションの向こうに出て行った。
待っている親子にオーディションの結果を伝えに行ったようだ。
「マー・室長、僕、帰っても良いのー!?」
「ああ、これで、終わりだからな」
「やった!ミナムとご飯食べるのー」
「そうか、シスターも一緒だろ」
「うん」
そう言いながら、リンは、廊下へ出て行った。
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「おまえ、何処まで知っていた!?」
ガラス窓の縁に後ろ向きに手をついたテギョンが、隣を見る事無く聞いた。
「リンが、緊張する理由だけ・・・」
ミナムも後ろを向いて手をつくとテギョンの方は見ずに憂慮する様に答えている。
「あの格好をさせたのお前だろうが!!」
テギョンの静かだが、低い声が響いた。
「アン社長が絡んでるなんて知らなかったよ!リンがヒョンに似てるって言われると緊張するのは知ってたけど!!」
ミナムが、一歩前に出てテギョンを見た。
「どういうことだ!?」
「ヒョンのファンの前を通ると似てるーとか可愛いーとか言われてるだろう!アレが嫌なんだよリンは!ヒョンと比べられてるみたいだからって!」
腕を組むと背中を向けた。
「別に親子なんだから良いだろう!」
「親子でもさ!リンは、ヒョンにライバル意識があるだろう!尊敬してるけど、ミニョの事大好きだし!親子でも恋してるだろうが!」
その言葉にテギョンは、グッと固まってミナムは、しまったという顔をしている。
「リンが、ミニョに恋してるって事か・・・」
詰まった言葉を拾うようにテギョンがミナムを見ている。
「してても良いだろう・・・親子なんだから!」
ミナムは、ふくれっ面をして開き直った様だ。
また、テギョンの方を見た。
「それは、別に構わないが・・・」
テギョンは、考え込む様に下唇に指を当てる。
「思い当たることだらけだな・・・」
「なんですかぁ」
黙って聞いていたミニョが、2人の間に割って入るように顔を出した。
「リンはオンマが大好きって話だよ」
「ああ、だって、リンは時々、アッパよりも良いオトコになったらケッコンしてくれるって言ってますよ」
ミニョが、クスクス笑い出すとテギョンが知っていたのかと聞いた。
「わたしを好きなことは知っていますよ!」
当然でしょとミニョは腰に手を当て笑顔でテギョンを見ている。
「アッパも大好きなんですけどね! ダメって言うことが多いから」
唇を尖らせたテギョンは、それでアレかと言った。
「なんか仕返しでもされてる気分だな」
はーっとテギョンから溜息が漏れていく。
「お前が関わっているから、もっとこう・・・とんでも無いことになっているのかと思ってたけど」
たいしたこと無かったなとテギョンはミナムを見た。
「どういう意味だよ!それー」
ミナムは、また膨れている。
「お前、いくらおじさんでもリンに甘過ぎだろう」
「別にヒョンとミニョ程じゃないぜ!そこは、弁(わきま)えてるつもりだけど」
2人がそんな会話をしていると音響室の扉が開いた。
「ミナムーご飯!!」
リンが、ばたんとドアを開けて入ってきたが、テギョンとミニョが居た事に首を傾げている。
既に着替えたようで、朝方見た服装に戻っている。
「あれ、オンマとアッパ、どうしたのー」
ああと言ったテギョンは、腕を伸ばしたリンを抱き上げると思惑を隠す様にニッと笑っている。
「ジェルミが一緒にご飯を食べようって言ったんだけど、ミナムがいないから探しに来たんだ!」
「そうなの!?」
「ああ、お前は、どうだったんだ!?」
「頑張ったよー」
そう言ったリンは、両手を上げてにっこり微笑んだ。
「そうか!じゃぁ、皆で飯を食いに行くか」
「うんー」
リンを抱えたテギョンは、ミニョとミナムに昼食に行こうと促したのだった。